アイディア満載のヴィンテージレーサーモデル
[03] 2004 XL883 / RUDE ROD CUSTOM CYCLEファクトリーカスタムモデルとは、その名のとおり“メーカーが手がけたカスタムモデル”、言うなれば出来合いバイクです。当然ベースとなるオーソドックスモデルがあり、それがXL883(現在モデルラインナップからは消えています)になります。本来カスタムとは十人十色、カスタムをする人の数だけバリエーションがあり、それを手助けするのがH-D正規ディーラーであり、世のカスタムショップでもあります。
では今、改めてオーソドックスなXL883をベースにショップらしさをふんだんに散りばめたカスタムスポーツスターを作ったとしたら……。それこそ人気モデル XL1200X フォーティーエイトと張り合う意味で、神戸のルードロッドが作ったのがこのレーサー系スポーツスター。予算をフォーティーエイトの販売額である140万円前後に設定し、程度のいいXL883を仕入れ、出来得る限りのアイディアを盛り込んだ珠玉の一台です。
前後サスペンションを短くしたローダウンスタイルで、不要タンクの一部を切り取って加工したシートカウルに、同じく自身で加工製作したハンドルバーなど、ロー&ロングのチョッパーテイスト溢れるレーサーモデル。メガホンマフラーも雰囲気を作っています。しかし、こちらも見た目だけではありません。車重400kgを超えるツーリングモデルを制御する専用ブレーキキャリパーをオフセットし、なおかつリアホイールの位置を少し前目にスライドさせてホイールベースを短くしています。後者のカスタムにより、コーナーでも軽やかにクリアできるディメンションとしているわけです。
「まだまだ改善の余地がある」とはビルダー榊和道さんの弁ですが、ここまでやってこそのカスタムショップと感嘆の声を挙げたくなる仕上がりです。出来合いのファクトリーカスタムモデルよりも個性的……と思うのは僕だけでしょうか。
[手がけたショップ]
RUDE ROD CUSTOM CYCLE (神戸市西区)
必要にして十分なボルトオンパーツでのカスタム
[04] 2012 XL883N / MOTOR GARAGE GOODSここまでの3台は、いわゆるカスタムショップによるフルカスタムモデル。プロが本気を出したカスタムなので当然ながら完成度も高く、なおかつ他にはないオンリーワンの個性がぷんぷん漂っているわけですが、当然お値段だって張るところ。フルカスタム、やれれば最高ですが、誰もがやれるわけじゃない。「じゃあ、他にカスタムのしようがないのか」と言われれば、そんなことはありません。そこで出てくる選択肢が、ボルトオンパーツでのカスタムです。
ボルトオンとは文字どおり、工具ひとつで取り替え可能なカスタムパーツのことで、プロにしかできない特殊な加工作業は必要ありません。大阪のモーターガレージ グッズは、ボルトオンでも十分スタイリッシュにまとめられるカスタムパーツを多く生産すべく、新ブランド『グリーミングワークス』を立ち上げ、現在ラインナップを増やしています。このXL883N アイアンは、そんなグリーミングワークスのラインナップすべてを取り入れたグッズのデモモデルなのです。
元々はYAMAHA SRなど国産クラシックネイキッドのカスタムを得意としていたグッズ、必要なカスタムの部位を見極めてアイディアを捻出するのはお手の物。マフラーにシート、ハンドル、ナンバープレートのサイドマウントブラケットなどは王道箇所ではありますが、「お、これは」と思わされたのがETC収納ケース付きのサイドカバー。元々積載能力が乏しい(というかゼロ)のスポーツスター、「ETCをどこに潜ませるか」はオーナー誰しもが苦悩するところ。ありそうでなかったサイドカバー収納を現実のものとするあたり、さすがはグッズです。
全部を揃える必要はないでしょうが、欲しいところだけ取り入れる“美味しいとこ取り”はボルトオンカスタムの醍醐味。自身のアイディアを駆使すれば、他の誰とも違う一台を作り上げることだってできますよ。
[手がけたショップ]
MOTOR GARAGE GOODS (大阪府豊中市)
スポーツスターのカスタムのバリエーションは、まだまだこんなものではありません。スポーツスターに乗っている方が「もっとカスタムしたい!」と思ったなら、まずはウェブや雑誌などでより多くのカスタム スポーツスターをご覧になられ、目を肥やされることが一番です。そのなかから、「自分ならこんなスタイルにしたい」、「こんなスタイルで遊びたい」というテーマ性が見えてくるので、そうしたらあっというまに“自分だけの一台像”が湧いてきますよ。