ハーレー XL883N アイアンはダークカスタムの先駆者
ハーレーダビッドソンのなかで最もコンパクトでスポーティなモデルをカテゴライズするのがスポーツスター ファミリーです。そのモデル群は、排気量で883ccと1202ccの2つに大きく分けられます。今回紹介するこのXL883N アイアンは883ccモデル(通称 パパサン)で、重量こそ1202ccモデルと大差ありませんが、小柄な人でも扱いやすいパワーとされるタイプです。現在のスポーツスター ファミリーにおける初心者向けモデルはXL883L スーパーローかと思いますが、このアイアンは以前紹介したXL883Rと同じく、スポーツスター本来のスタイルであるフロント19インチ / リア16インチというホイールサイズを持つスタンダードなモデルなのです。好みは人それぞれですが、「スポーツスターと言えば、やっぱりジュウキュウジュウロクだよね」というところでしょうか。
F19 / R16の足まわりを持つスポーツスターの基本モデルと言えば、今はモデルカタログから姿を消したXL883です。このアイアンは、そんなXL883のダークカスタムモデルとして2009年冬にデビュー。このダークカスタムモデルというのが今もハーレーダビッドソンで展開されているテーマで、当時は同じスポーツスターにXL1200N ナイトスター(現在はカタログ落ち)というモデルがいたのですが、アイアンはこのナイトスター以上にブラックアウトしたスタイルでデビューを飾りました。昔からバイクに乗る人はバフがけをしたクロームメッキで彩るカスタムに人気が集まりますが、このダークカスタムはどちらかと言えば今時の若者に支持されるスタイルのようですね。
とにかく低い!
この前後スタイルをご覧いただければ分かるとおり、多くの方が抱いているハーレーダビッドソンというモーターサイクルに対するイメージとはかけ離れたシャープなフォルムのモデルです。そしてアイアンと言えば、ダークカスタムモデルであることに加え、当時から今にかけての流行であるローダウン(車高を低くした)モデルの先駆けでもありました。2010年のデビューした後、今やアイアンよりも車高が低いモデルが続々と登場していますが、そのデビュー当時はどのモデルよりも低いスタイルだったのです。なぜカンパニーがアイアンをローダウン仕様にしたかと言うと、ロー&ロングというカスタムの王道的スタイルに加え、小柄な人でも安心の足着き性を得られるようにと考えたからでしょう。現在、アジア市場開拓の先発隊としてカンパニーが送り込んだ新型水冷エンジンモデル ストリート500 & ストリート750と酷似していることからも、アイアンはアジア戦略の一環として生み出されたモデルなのかもしれません。つまりアイアンは、標準的なアジア人の体格をベースとする一台なのです。
そんなアイアン、実際に乗ってみるとどうなのか? 早速試乗してみました。