肌を隠しつつも華やかに
いわゆる「真知子巻き」のスカーフが60年代レトロのたたずまい。キャッツアイ形のサングラスは、地中海に面し、陽光が降り注ぐモナコに似つかわしい。レモンイエローのセットアップにも当時の風情が薫ります。ジジはニコールのブロンド、ブルーの瞳、白い陶器肌になじむ色味を選んだそうです。淡い黄色はグレースのお気に入りの色でもありました。宮廷を出て街中で過ごすグレースのくつろいだ気分を写し取っています。スカーフの柄次第で雰囲気を変えられるから、シーンに合わせてアレンジが利きます。
赤十字を慰問する場面だけに、色数を抑えた、節度や良識を感じさせる装いです。白の大襟が目を引き込むのと同時に、クリーンでピュアな人柄を印象づけています。ロンググローブ、帽子、バッグを白で統一して、白衣の天使たちに通じる飾らないムードを醸し出しました。コートのカッティングは典型的な60年代シックで、今見るとかえってモダンに映ります。ドット柄のボウタイ・ブラウスが白を引き立てています。ジジはグレースがこのような小さな帽子をよくかぶっていたのを知り、60年代調のコートに合わせすスタイリングを着想したそうです。小ぶりの帽子は貴婦人の風情を生んでいます。
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