日本人向きではない足着きはカスタムで国産シートに!
改めて言うのもなんですが、やはりデカい。近年のハーレーダビッドソン モデルは足着き性を良くするためか、はたまた流行からか、全体的にローダウン(車高を下げる)傾向にあります。ところがこのロードキング、身長174cmの私がまたがっても、ややカカトが浮くほどの足着きです。他モデルに比べてしっかりと高さが確保されている(走行時、バイクを倒し込んだ際のバンク角を保つため)ということもありますが、大きな要因はシートの横幅が広いことでしょう。ハーレーダビッドソンはアメリカのモーターサイクルメーカーで、それぞれのモデルはアメリカ人のために作られています。カンパニーが想定する標準的なユーザー層は身長180cm近い(我々日本人から見れば)大柄な体型で、これほどシートの横幅が広くとも、彼らは難なく足を真下に降ろせちゃいます。しかしアメリカ人ほど体躯に恵まれない日本人にとって、これは割りと大きな問題なのです。シートの横幅が広いということは、跨がった際、太ももが外に開いてしまい、足はガニ股のようになります。そうすると、真っ直ぐ足を真下に降ろしたくても降ろせなくなるのです。これが小柄な女性ともなると、バイクを起こす際にサイドスタンドを払うのも困難になります。
「じゃあ、ロードキングがどれだけ魅力的でも、乗りづらいんじゃ意味がないじゃないか」
……もちろん解決策はあります。それはシートを換えることです。
シートの横幅が広いのなら、ここを細くしてやればいいのです。そうすれば、足はスムーズに真下に降ります。そのカスタムシートを選ぶ(探す)際に重要な点は、日本人の体型を考慮したシートメーカー……いわゆる国産シートメーカーを選ぶことが重要です。カスタム用のシートは世界のいろんな国々から輩出されていますが、アメリカのメーカーが日本人の体型を気にして開発することなどありません。シートひとつ換えるだけで乗り心地が激変するので、ロードキングだけでなくハーレーダビッドソン購入の際は、ぜひこうした点にも目を向けてみてください。
もっと遠くへ走りに行きたくなる! 旅情をかき立てる“道の王”
走り出して真っ先に感じることは、ダイレクトに伝わってくるパワフルなツインカムエンジンの鼓動。ダイナやソフテイルといったツインカムモデルは他にもありますが、やはり排気量1689ccのパワーはまるで質が違います。日本における排ガス規制の観点から、このツインカム103エンジンはそのパワーを最大限に発揮できてはいないのですが、インジェクションチューニングをかけて潜在能力をめいっぱい引き出せたら一体どんな走りをするのか……。そんな境地にたどり着きたいと思わせてくれるほどの可能性まで感じさせてくれました。バイクに乗り馴れていない人が乗ると、このビッグボディとパワフルな走りをコントロールするだけで疲れちゃうかもしれませんが、低重心で安定感があるので、直進走行能力はバツグンに高い。これでハイウェイを駆け抜けるときの快感といったら、他モデルでは得難いものがありますね。完全装備のウルトラで北海道や九州を走破するのも楽しいのですが、このロードキングはひと味違った旅情をかき立ててくれる雰囲気をまとっています。
実際に走っていると、ちょうど目線の先にウインドスクリーンのトップエンドが来ており、そこで景色が見切れてしまうので視界確保の邪魔になるなど、気になる点もチラホラ。アメリカ人ほどの身長がないための弊害ではありますが、これもウインドシールドを換える or ちょっとカッティングしてやる、などの対応で解決可能。“アメリカ人のためのモーターサイクル”に乗るわけですから、そこは日本人らしく柔軟に対応すれば問題ないでしょう。
カンパニーが王冠を授けたFLHRC ロードキング クラシック。そのハーレーダビッドソンらしい風貌とともに日本中を走ってまわりたいというアグレッシブな人に注目してもらいたいモデルですね。
[HARLEY-DAVIDSON FLHRC SPECIFICATIONS]
全長/2450mm
全幅/960mm
全高/1430mm
ホイールベース/1,625mm
加重時シート高/715mm
車両重量/371kg
エンジン型式/Air-cooled, Twin Cam 103
排気量/1689cc
フュエルタンク容量/22.7L
フロントタイヤ/MT90 B16 M/C 72H
リアタイヤ/180/65 B16 M/C 81H
メーカー希望小売価格(消費税込)/[モノトーン] 286万円
(2014年9月現在)