未来を切り開くニュースタイル
新時代のハーレーモデル
ハーレーダビッドソンの魅力と言えば、Vツインエンジンの独特の鼓動感。100年以上に渡って受け継がれてきた伝統は、現在のみならず未来のハーレーダビッドソンにも継承されていくものでしょう。そんなハーレーダビッドソンが創業100周年を迎えた2003年に世に送り出したのがVロッドと呼ばれるまったく新しいバイクでした。最大の特徴は、この新型の水冷エンジン『レボリューション』。端的に言えば、ハーレーの生命線とも言える鼓動感を生み出していた空冷エンジンとはまったく異なるスポーツバイクのそれだったことです。新たな100年後を見据えたカンパニーのアプローチなわけですが、とりわけその鼓動感やビンテージスタイルに敬意を表していた日本では、なかなか受け入れられないモデルとして懐疑的な目で見られていました。デビューから12年が経った今、その地位は決して高いとは言えませんが、それでも根強いVロッドユーザーが存在しています。
このVロッドファミリー、かつてはVRSCファミリーという名称でして、各モデルの車両名にもこのアルファベット4文字が入っています。これはVツイン・レーシング・ストリート・カスタムの頭文字で、そのスタイルのベースとなっているのは、アメリカで人気のモータースポーツ『ドラッグレース』に登場するレーサー。ロードレースのようにサーキットを周回してのタイムを競うのではなく、直線のみのコースにおいて、その爆発的なスタートダッシュとスピードのみで競い合うのがドラッグレース。“バイクで曲がる”ということを必要としないスタイルを取り入れたVロッドは、いわば市販用に開発されたストリートドラッガーということなのです。
ダークに仕上げられた一台は
夜のストリートがよく似合う
今回ご紹介するナイトロッド スペシャルは、そのカッコいいネーミングとブラックアウトしたダークなスタイルから、Vロッドファミリーのなかでも高い人気を誇るモデル。デビューしたのは今から8年前の2006年、当時はナイトロッドという名称でした。その翌年、ナイトロッド スペシャルと、前年よりスペシャルなモデルとしてリバイバルされたのです。何がどうスペシャルになったのかと言うと、前モデルよりもダークな部位が増え、そしてリアタイヤが180mmから240mmと、なんと60mmもサイズアップしたのです。これによって、いわゆる直進安定性がグッと向上した一方、タイヤが太い分コーナリング時にバイクを倒し込ませるのが難しくなりました。そう、よりドラッグレーサースタイルへと近づいていったのです。他のモデルならいざ知らず、Vロッドモデルということを考えれば、中途半端に大衆に阿(おもね)ったウケやすいことなどせず、「俺、曲がるのキライなんで」とでも主張したげなアクの強いキャラクターであることの方が“らしい”と思います。
ナイトロッド スペシャルのスタイリングがとんがっていることはこうした内容からですが、それでは実際のライドフィールについて進んでいきましょう。