よりスポーツスターらしく
スタイルを損ねないカスタム
[04] 2014 XL1200X / TRAMP CYCLE現在、ハーレーダビッドソンのなかで人気ナンバーワンのモデル XL1200X フォーティーエイトを大阪のトランプがプロデュース。このフォーティーエイトというモデルは、メーカー提案型のカスタム(いわゆるファクトリーカスタム)モデルで、ノーマル状態での完成度が高い一方、ヘタなカスタムをすれば全体のバランスを崩してしまうという“諸刃の剣”的な存在。そこでトランプは、本来のスタイリングを崩すことなくオリジナルパーツを各所に配し、バイクとしてのブラッシュアップを試みました。
ハーレーダビッドソンは“かっ飛ばす”バイクではありませんが、このトランプというショップは「ハーレーをいかに気持ちよく乗れるようにするか」(代表の長岡 守さん)を大前提としたカスタマイズをされています。このフォーティーエイトにも同様に手が加えられており、1970年代のビンテージルックなスタイルを取り入れつつも、現代の道路事情に合わせたコントローラブルな一台へとブラッシュアップされています。実際に乗らせてもらいましたが、ノーマルとは比較にならないほど快適なライドフィールが好印象でした。“よりスポーツスターらしくなったフォーティーエイト”といったところでしょうか。
[手がけたショップ]
TRAMP CYCLE (大阪市都島区)
これぞ往年のチョッパーカスタム
ビンテージハーレーならではの姿
[05] 1961 FLH / SHIUN CRAFT WORKS110年以上の歴史を持つハーレーダビッドソン、とりわけ人気が高いのが何十年も前の中古車……いわゆるビンテージモデルです。その言葉だけ聞くと「そんな何十年も前のバイク、ちゃんと動くの?」と思われるでしょうが、ハーレーって昔から結構頑丈なことで有名なのです。戦前のモデルが現代の街中を走っていることだってしばしば。ビンテージハーレーには、進化した現行モデルにはない古き良き時代の味わい深さがあるのですが、当然ながら適切なメンテナンスを必要としますので、確かな腕と経験を積んだカスタムビルダーによるフルメンテを受けた車両を探されるのがベストでしょう。
ビンテージから現行モデルまで扱う神戸の著名なカスタムショップ シウンクラフトワークスが手がけたこの一台、ベース車両は1961年式 FLH、エンジンは“パンヘッド”と呼ばれるものです。エンジンのシリンダーヘッドがフライパンのような形状であることからそう呼ばれています。このカスタムハーレーの特徴は、完成度の高いそのスタイリング。「まずはどんな姿でフィニッシュさせたいか。それぞれのパーツは、その完成したときの姿に必要なものを選んでいるだけ」とは、シウン代表の松村友章さん。まるで1970年代のアメリカにタイムスリップしたかのようなチョッパーハーレーの姿そのもの。プロフェッショナルが手がけた珠玉の一台、その知識、技術、経験のすべてが注ぎ込まれています。
[手がけたショップ]
SHIUN CRAFT WORKS (神戸市東灘区)
シャープなシルエットが最大のポイント
スタイリッシュなカスタムスポーツスター
[06] 2003 XL883R / RUDE ROD CUSTOM CYCLE日本でも屈指の人気を誇るモデル スポーツスター XL883R。前述のセブンティーツーやフォーティーエイト同様、2004年からの仕様変更によりカスタムが難しくなったスポーツスターですが、それでも「壊れずに気持ち良く乗れる現行モデルをカッコよくカスタムできれば、ハーレーに乗るのがもっと楽しくなる」(代表の榊 和道さん)と、往年のレーサーモデルをダークなストリート仕様にカスタマイズしたのがこの一台です。
かつて正規ディーラーのメカニックとして経験を積んだ榊さん、ビンテージハーレーはもちろん、現行モデルでもスポーツスターからビッグツインまでなんでも扱える幅広さがウリで、しかも欲しいパーツがないときは自分で作っちゃうという御仁。このXL883Rの各部位もほとんどが自作パーツで、XL883Rが持つ本来のレーシーな雰囲気を残しつつ、無駄を削ぎ落たシャープなシルエットとダークなカラーリングが印象的な一台です。故障の心配をせずに乗り回せるのは、現代版のハーレーダビッドソンが持つ大きな特徴。正規ディーラーではできない領域へと踏み込むカスタムショップならではの完成度と言えます。
[手がけたショップ]
RUDE ROD CUSTOM CYCLE (神戸市西区)
というわけで、H-D正規ディーラーとカスタムショップ、それぞれのハーレーカスタムの一例を取り上げさせていただきました。確かに、ディーラーやショップにフルカスタムをオーダーすると、何十万~何百万円というカスタム費がかかってしまうなど、ハーレーのカスタムには相当の費用がかかるものですが、それでも“この世に一台だけの自分のバイクを持つ”ことは、バイク趣味の世界における究極の形だと思います。
ちなみに、H-D正規ディーラーでは社外マフラー(非ノーマルマフラー)へのカスタムは基本的にNGとされているので、「ノーマルマフラーのサウンドが物足りない」、「マフラーのシルエットをもっとカッコよくしたい」という方は、お近くのカスタムショップを探してみてください。