カスタムモデルゆえのアクの強さ
現代版キャプテンアメリカ号か
大抵、こうしたインプレッション記事ではノーマルのメーカー広報車を用いるのですが、そのメーカー広報車がモーターサイクルショー向けにカスタムされており、「FXDBはこれ一台しかない」ということでしたので、ノーマル本来の乗り味とは若干異なりますが、インプレッションしていきたいと思います。まず本モデルのカスタム内容ですが、ご覧のとおりかなり手が加えられているモデルです。LEDヘッドライトやサイドマウントされたナンバープレート(車検対応パーツ)、エギゾーストカバー、ハンドルグリップなど全部で20ヶ所以上! これでパーツ代金のみで約60万円だそう。「なんて金額!」と驚かれる方も多いでしょうが、ハーレーのカスタムという点で見れば、比較的安価にまとめられている印象です。そう、カスタムの世界って結構天井知らずなところがあり、とことんいけば1000万円以上のカスタムバイクなんてものも登場してくるのです。その話はまた次の機会に……。
快適にバイクに乗るうえで着目したいポイントは3つ、「ハンドル」「シート」「ステップ」です。これらはライダーの体を支える&バイクを操作するうえで重要な部位で、このポジション次第でそのバイクの乗り味は決定されるといっても過言ではないほど。
それを踏まえたうえでこのカスタム ストリートボブを見ていくと、ステップはノーマルと変わらず、シートはFXDC スーパーグライドカスタムのオーソドックスなものに変わっているだけですが、高く持ち上げられたエイプバーがこのバイクの乗り心地を決定づけています。ちなみにエイプバーの語源は、ハンドルを握るライダーの姿が木にぶら下がる猿のように見えるところから。もともとミニエイプバーを備えるストリートボブですが、ここまで高くなると乗り味は大きく変わってきます。
実際に乗ってみると、まぁクセが強いこと(笑)。低重心のパワフルな走りはそのままに、高く持ち上げられたハンドルバーのポジションはどのモデルにもない特殊な仕様のため、“バイクをコントロールする”という点では難易度の高いものとなっていました。
決して取り扱えないわけではないですが、両腕が持ち上がった状態でのコントロールというのは安易なものではありません。スポーツ性能を有したダイナモデルがベースなので、比較的柔軟に対応してくれるポテンシャルを有しているところはさすが。
チョッパーモデルならではのシャープなシルエットに1970年代をほうふつさせるデザイン、そして高く持ち上げられたエイプバー……と、乗っていてふと気付かされたのは、その特徴と似ているのが映画『イージーライダー』に登場するキャプテンアメリカ号だということ。もちろんキャプテンアメリカ号とするならば、ソフテイルFXがベースになるでしょうし、フューエルタンクだってもっと小さくないと、さらに……などなど、いろいろ注文したいポイントは多々出てきますが、これだけのカスタムで往年の名車の雰囲気を手に入れられるというのは貴重なこと。それも、ビンテージモデルのフォルムを崩さないバイクを作っているハーレーダビッドソンならでは。
カスタムの仕方次第でさまざまな表情に変化するのは、ダイナのみならずハーレーダビッドソンの全モデルに共通すること。重要なのは、“目指すべきスタイルに適したモデルを選べているか否か”で、これによって最終的な完成度に差が出てきます。今回はFXDB ストリートボブをベースにバランスよくカスタムした一台をご紹介させていただきました。
せっかくハーレーダビッドソンに乗るのなら、他にない“自分だけの一台”にカスタムして楽しむのも一興です。ぜひ購入の際の参考にしていただければ、と思います。