110年の歴史を持つ世界的メーカー
「ハーレーダビッドソンは、アメリカの魂だ」何万人という観客の歓声に包まれるなか、そう叫んだのは、世界的ロックバンド『エアロスミス』のヴォーカリスト、スティーブン・タイラーです。2013年8月、ハーレーダビッドソン創業110周年記念イベントのライブでの一幕でした。
多くの方が、ハーレーダビッドソンという名を一度は耳にされたことがあるでしょう。アメリカが生んだ伝統あるモーターサイクルメーカーで、映画『イージーライダー』や『ターミネーター2』にも登場していることからご存知の方もいるはず。他にも有名なモーターサイクルメーカーはいくつもありますが、その独特のネーミングと“鉄馬”という表現が似合う製品、そしてアメリカというスケールの大きな国を感じさせる存在感などが親しまれる点かと思います。
正式にはハーレーダビッドソン モーターカンパニーという社名で、昨年創業110年めを迎えた由緒ある歴史を持つメーカーです。1903年、アメリカ中部に位置するウィスコンシン州ミルウォーキーという小さな街に住む若者ふたり(ウィリアム・S・ハーレーとアーサー・ダビッドソン)が手がけた、自転車用バイクエンジンがそのはじまりで、その後、アーサーの兄ウィリアム・Aとウォルターが加わり、モーターサイクルメーカーとしての一歩を踏み出しました。その当時の日本は明治36年で、日露戦争開戦の前年というとき。そんな時代に「自転車用のエンジンをつくろうぜ!」と思い立った2人の若者に、そのスケールの大きさを感じずにはいられません。
創業後、ふたつの世界大戦や英国バイクというライバルの出現、大手機械メーカーAMFによる買収とその後の独立(バイバック)などを経験したハーレーダビッドソンは、その時代にあわせた新型モデルを開発し続け、途絶えることなく現在まで歴史を紡いできました。その並々ならぬ努力が、今の地位を築いたのだと言えますね。
カテゴリー別に見るモデルラインナップ
そんなハーレーダビッドソンを代表するモデルラインナップは現在31種類におよび、それらはすべて「ファミリー」という呼び名でカテゴライズされています。まずはファミリーごとの特徴をご紹介していきましょう。“キング・オブ・モーターサイクル”の呼び名にふさわしい存在、それが『ツーリングファミリー』。ウルトラと呼ばれるハーレーダビッドソンの最上級モデルをはじめ、排気量1689cc、重量も400キロ近くにおよぶモデルがずらり並ぶクラスです。
リアタイヤと接続されているフレームのリア部分の形状が三角形を描く、独特のソフテイルフレームを持つのがこの『ソフテイルファミリー』。その長い歴史を語るうえで欠かせないこの形状は、文字どおりハーレーダビッドソンの代名詞とも言えるものです。
大柄なクルーザータイプのモーターサイクルが印象的なハーレーダビッドソンにあって、他とは違いスポーツライドを楽しむために生み出されたのがこの『スポーツスターファミリー』。小柄な日本人の体型にマッチしていることなどから、日本で高い人気を誇るカテゴリーです。エンジンも上記2カテゴリーと違い、883ccと1201ccのエヴォリューションエンジンが搭載されています。
そして、「ソフテイルやツーリングのモデルに用いられるビッグツインエンジンに、スポーツスターの走行性能を加えてみては?」という発想から生まれたのがこの『ダイナファミリー』。こちらも日本で高い人気を誇るスポーツクルーザーモデルが魅力です。
上記の空冷エンジン搭載のラインナップと異なるハーレーダビッドソン オリジナルの水冷エンジン・レヴォリューションを心臓とする異端児的カテゴリー、それが『Vロッド ファミリー』。その攻撃的なスタイルは、アメリカで人気のモーターサイクル スピード競技ドラッグレースに由来します。
このほか、全モデルの最上級に位置するCVO(カスタム・ヴィークル・オペレーション)や先頃日本でデビューしたばかりの3輪モデル・トライクなど、ユニークな顔ぶれが魅力のハーレーダビッドソン。このモーターサイクルには、独特の旅を味わわせてくれるツーリングに加え、カスタムやファッションなど、オーナーのライフスタイルを充実させてくれるさらなる楽しみ方、遊び方があるのです。きっとオーナーの全人生をかけても味わい尽くせないほどの無限の楽しみが広がっています。