雑貨/ナチュラル・シンプル雑貨

青森のりんご木箱

青森といえばりんご、という明らかに単純な発想ですが、どう考えてもやっぱりりんごが気になる。今回は、りんごの木箱の制作現場へ行ってきました。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

 
冬の青森のりんご畑。めっちゃ寒いです。

冬の青森のりんご畑。めっちゃ寒いのですが、津軽の人は「雪が降ると温かい」と言います。


青森といったら、りんご、とベタな素人目にも思っていましたが、実際青森へ行ってみたらそれは本当でした。どこで食べてもりんごが美味しい。りんごジュースがとにかく美味しい。りんごのクオリティについてはどこにも負けない自信と、情熱的なほどのりんご愛があるのです。現地では、青森=りんご、のイメージを更に超えるほどの深い想いがひしひしと感じられました。

りんごとは、赤くて、丸くて、誰からも愛されるフルーツ。街中にりんごが溢れる青森県は、なんだかほのぼのとして可愛い。街のあちこちでりんごのオブジェやりんごのマークを見かけます。赤くて丸い目印に、どことなく気持ちがうきうきする。たとえぽこんと唐突に、意味不明に置いてあったとしても、それがりんごというだけで、可愛いからよし、と許されてしまう。ちょっとずるいな、と思ってしまうほど。りんごモチーフというものは、みんなの心を惹きつけ和ませてくれる、と青森の街で実感しました。

八百屋での風景。右下がいわゆる一般的なりんご箱

八百屋での風景。右下がいわゆる一般的な大きさのりんご箱。サイズはだいたい横62cm、縦30cm、高さ30cmくらいです。


さて、そんな可愛いりんご達を影で支える道具、りんご箱。りんごを入れる木の箱です。

青森の八百屋さんへ行くと、大抵この木箱が収納やディスプレイに使われています。いや八百屋に限らず、カフェでも雑貨屋でも、意外とあちこちで見かけるりんご箱。なんてことない四角い木箱ですが、これが思いのほか便利のようなんです。収納棚に使ったり、テーブルや椅子に改造したり、みんなちょっとした工夫を凝らしてりんご箱をうまく活用しています。

青森県人にとってはどこにでもある当たり前のりんご箱のようですが、県外からの人物にしてみれば、真新しい感覚。りんご箱ウォッチングするだけでも楽しい。りんご箱ってこんなに便利なんだ!

実は我が家にもあるのですが、大きさ加減や飾り気のなさ、丈夫さなど、なかなか勝手が良く、いい味出している木箱です。しかも“りんごに使う箱”というストーリーがこの箱をさらに素敵なものにしてくれる。見れば見るほど魅力的なりんご箱。といわけで、今回このりんご箱の制作現場へお邪魔することに。

道路沿いにもそびえ建つりんご箱の巨群

道路沿いにもそびえ建つりんご箱の巨群


さて、現場へ到着してみると、どこまでも果てしなく積み上るりんご箱!!見渡す限りりんご箱!しかもきっちりと規則的に積上っている。これはなかなかの圧巻です。「わあ!」とひたすら感嘆の声を挙げるしかありません。青森県人のソウルフルーツ、大切なりんご達をしっかりと受け止めるりんご箱の頼もしさたるや。そして巨大な倉庫の奥に小部屋がひとつ。扉を開けるとそこが作業場になっていました。

ありえないほどたくさんあります

ありえないほどたくさんあります


トンカントンカン、威勢のいい金槌の音がリズミカルに聞こえます。りんご箱職人が、それぞれ自分の持ち場で作業しています。この日は6人ほど来ていました。

よく見ていると、各自自分だけのリズムがあるようで、ロック風、クラシック風など、釘の打ち方にもそれぞれ個性を持っています。その繰り返される響きが、和音のように重なり合って、耳に気持ちよい。馴れた手つきでトンカントンカン、みるみるうちに箱ができあがります。

ひたすら黙々と続く箱作り。1時間で10個、1日で100個くらい作ってしまうそう。室内ではありますが、倉庫の一部のような場所で、冬はとっても寒い。この日も雪がしんしんと降っていました。それでも職人さんたちはやってきて、ひたすら釘を打ち、無心に箱を組み立てています。

職人さんたちに時間の拘束やノルマはなく、何時に来て何時に帰ってもいいんだとか。全て自分の調子、自分の判断で、好きに自由に作業する。一見ゆるいようでいて、お互いのことを考え、自然に協力しながらやっているのだと思う。

淡々と響く金槌の音に、じわじわと染み入るような感動が押し寄せてきて、ただただじっとその様子に見入ってしまいます。ずっと見ていても全く飽きない。金槌の音がまるで音楽を奏でているかのように自然で、心地よく体の中に響く。ここの職人さんは全て男性でしたが、実は女性が箱作りをしているスペースも別にあるそうです。

箱は全てリサイクルで何度か使われます。厳しい冬を乗り切って行くためか、青森の人々はみんながお互いに助け合って思いやって生きている、という印象がありました。

職人さんの作業現場

職人さんの作業現場。手際良く次々に箱ができあがります。


釘の打目が端正で美しい。素材は松だそう

釘の打目が端正で美しい。素材は松だそう


こちらはリサイクルされた木箱。使い込んでも味がある

こちらはリサイクルされた木箱。使い込んでも味がある


その後訪ねたのは「monoHAUS」というお洒落な雰囲気の雑貨屋さん。シンプルでセンスのよいインテリア雑貨が並んでいる店内ですが、実はここでりんご箱作りの体験ができるのです。

ちょっとしたお土産にも嬉しい、りんごが3個ほど入る小さな箱を作れます。寸法に切った木の板と釘と金槌を渡され、1人ひとつ、箱を組み立てます。ただ四角いだけの単純なかたちなのに、いざ作ってみると、意外と難しい。思った以上に板の厚さが薄く、まっすぐきれいに打たないと、釘が飛び出てしまいます。なかなかコツのいる作業。

さっき見た職人さんたちは、さも簡単そうに小気味良くトンカン打っていたのに。やってみるとなかなかうまくいかない。あれこれ苦心しながら、なんとか30分くらいで仕上がりました。

出来上がった木箱には、りんごを入れて発送することができます。旅の思い出にも、よい経験になります。(そして一緒に送ったりんごがびっくりするほど美味しい)。

りんご箱作りを体験

りんご箱作りを体験


出来上がった箱にりんごを入れて発送します

出来上がった箱にりんごを入れて発送します


外に出ると回りにはたくさんのりんご畑。青森県にとってりんごはかけがえのない大切なもの。今回は真冬の青森でしたが、次に訪ねるときは、りんごが木になっている姿をぜひ見てみたいなあと思いました。また、りんご回りの道具として、りんごの収穫に使うカゴもこれまた素敵なので、いつかはこちらを取材したいと思います。


monoHAUS
青森県北津軽郡板柳町福野田実田30-5
tel 0172-72-1321
open 10:00~18:00  水曜定休
http://www.monohaus.jp

※りんご箱作り体験は4名以上で、お一人様4,000円(税抜)。
材料費、りんご、梱包費、送料(沖縄・離島は別途)含む。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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