雑貨/季節の雑貨

小さくて可愛い縁起物人形

お正月もすっかり過ぎてしまいましたが、神社やお寺のお正月行事で授かることの多い縁起物。持っているとなんとなく嬉しくなる、小さくて縁起のよい人形をご紹介します。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

 

縁起物はできるだけ小さいものに

あんまりモノは増やしたくないし、すっきりした家に住みたいと常々思っているので、できるだけ余分なものは買わないように気をつけているつもりですが、それでも、ときどきつい手に取ってしまうのが、この手の縁起物です。

たいていはお寺や神社、お祭りなどで売っていて、そういうところへは日常ではなく、旅の途中や祭りなど、ちょっとしたハレの日に行くことが多い。そんなときに思い出の証として、なんらかを手元に残しておきたいという気持ちが動きます。

縁起物って、少し遊びの要素もあるというか、話のネタみたいなものでもあり、あるなら買っとくか、というノリだったりする(本来そういうものではないはずなんですが・・・現代人の心理として)。

そうはいっても、むやみやたらに縁起担いでてもとめどがないので、自分の中での密かなルールは、可愛くて気に入ったものであることはもちろん、とにかく持ち帰るなら小さいのにしよう、ということ。手のひらに収まるくらいの、できるだけ小さいもの(大抵小さいことが多いのですが、できれば5cm以内)。

家で飾るにも大きいものは難しいし、もしも飽きてしまったとき、こういうものはそう簡単に捨てられないので、なかなか燃えるゴミの日にぽいっ、というわけにはいかない(いいえ、ちゃんと奉納しましょう)。

で、気付くといつの間にか結構ちまちまとちっさい縁起物が集まっているのですが、そんな中からいくつか紹介してみます。

招き猫

猫好きならみんな好き

猫好きならみんな好き


つぶらな瞳の招き猫。見るからにおめでたいしかわいいし、気持ちがほっこりする。猫というのはずるい動物だなあと思う。存在がもう愛されている。

この猫は東京世田谷区の豪徳寺から。世田谷区といえば住宅街なので、都内でも特に猫が多いエリアだと言えますが、豪徳寺はなんと招き猫発祥の地と呼ばれています。その所以は江戸時代、彦根藩主・井伊直孝が豪徳寺の前を通ったところ、猫が手招きをするので寺を訪れてみたらば、その後すぐに天候が悪くなり、おかげで災難から逃れた、という言い伝えがあるそうな。きっと井伊さんも猫好きでつい、付いて行っちゃったのではないかと。兵庫のキャラクター「ひこにゃん」もこの逸話からきているらしいです。

ところで招き猫といえば商売繁盛のややギラついたイメージもありますが、ここの猫はみんな小判は持ってません。シンプルに手招きしてるだけってところが、潔くていい。

豪徳寺にいくと、町中にもあちこちに猫のオブジェがあったりして面白いのですが、この寺自体は静かで情緒のある美しい場所です。野良猫も平和に暮らせそうです。

猫の人形は大小さまざまな大きさが売っていて、写真のものは一番小さく高さ2cm、小指の先くらいのサイズです。猫好きの友人に出会うと、これを無性にプレゼントしたくなります。

にぎり福

握るのにちょうどいい大きさ

握るのにちょうどいい大きさ


鎌倉本覚寺のにぎり福。ここはまた商売繁盛の神様であるえびす様が祭られており、毎年1月10日の「本えびす」では、福娘さんたちがお神酒や甘酒を振る舞い、福笹やお守りを授けてくれます。この日はすごく賑わうようですが、普段はあまり人の気もなく、鶴岡八幡宮のあるメイン通りからも外れているので、やや混雑を避けて静かに過ごせます。鎌倉駅から徒歩3分くらいの結構近い場所にあるのに、それほど知られていない模様。

にぎり福は「福 財 健 愛 学」と5つの文字がそれぞれ頭の後ろに書かれていて、自分が願いたいものを選びます。一番願いの強いものを一つだけ買うという人もいれば、一気に全部買ってしまう人もいるようです。

これを毎日握っていると願いが叶うといわれています。実際そんなには握らなかったりしますが、たまに眺めると和むので、心の健康には良いかなと思います。顔はひとつひとつ手書きなので、全て違います。いたずらっ子っぽい表情がなかなか味わい深いです。お寺のお坊さんの手作りだそうです。

起き上がり小法師

シンプルな筆さばきがいい

シンプルな筆さばきがいい


福島・会津の民芸品。福島といえば赤べこも有名ですが、こちらはもっと古い歴史があるそうです。会津では現在でもお正月の初市で売られ、家族の人数よりもひとつ多く買い、神棚に飾るのだそうです。家族や財産が増えますように、という願いが込められているとのこと。

また、この人形、何度ひっくり返っても起き上がることから、七転八起の縁起物ともいわれています。ほのぼのとした笑い顔で、どこかおとぼけ感のあるユーモラスな風貌がかわいい。おむすびころりん、とか言いたくなるような。

小さい人形というものは、大きいものに比べてどうしても絵が簡略化され、やや適当な感じに描かれているのが個人的にはツボです。大きいものは細密にもできますが、小さいものはやむをえず、てん、てん、ぺた、みたいな大雑把な感じがいい。

これは会津にある「山田民芸工房」というところで作られており、ここへ行くと思いっきりどでかい人形もあるのですが、大きいものも相変わらず簡略に描かれていたので驚きました(というか安心しました)。

工房では、どうやって作るのか丁寧に説明して頂けます。手づくりなので結構手間のかかる作業です(こちらで行程が見られます)。ここでは絵付けの体験もできるそうです。

また、会津の和菓子屋「会津葵」には、この小法師をかたどったお菓子があります。小豆餡と白小豆餡を石衣で包んだおいしいお菓子で、小箱の中にそのお菓子がお行儀良く並んでいるのですが、ひとつだけ小法師人形がオマケで入っていて、ちょっと嬉しくなります。

木うそ

謎のくるくるパーマ

謎のくるくるパーマ(隣りにいるのは松尾大社のカメ)


木うその”うそ”は、鷽(うそ)という鳥のこと。福岡・太宰府天満宮には1月7日に「鷽替え神事」という行事があります。夜になるとそれぞれが木うそを持って集まり、暗闇の中で手にした木うそを交換して取り替えるんだそうです。暗闇で交換、ってちょっとワクワクします。たまに金のうそも混ざってるらしくてゲームっぽいです。

「知らず知らずのうちについたすべての嘘を天神さまの誠心に替え、また、これまでの悪いことを嘘にして今年の吉に取り替えるという意味があります。」と太宰府天満宮のwebサイトには書いてありますけど、ダジャレのようなナゾナゾのような、とにかくよくよく考えてみるとなんとも都合のいい行事です。

太宰府に祀られた菅原道真が蜂に襲われそうになったとき、鷽(うそ)の大群が来て蜂を食べてくれたから助かった、という逸話もあるらしいです。確かにウソみたいな話です。

木うそは行事の当日、太宰府から授かるそうですが、その日じゃなくても太宰府へ向かう参道のあちこちでいつも売られています。大きさもいろんなサイズがあって、これは一番小さい3cmくらいのもの。鳥というよりも“天然パーマで目の据わったおっちゃん”という感じの風貌が、どうにもへっぽこ感があって妙に心惹かれます。朴の木を掘って作られたもので、鳥が木に止まっている姿だそうです。

にしてもなぜ天パなのか?本物の鳥画像を見てみましたが、こんなにくるんくるんはしてないんですよね。ちなみに東京の亀戸天神や湯島天神などでも木彫りの鷽を手に入れることができるのですが、こちらはまた少し趣が違います。

東京の天神様の鷽のほうが、普通に鳥らしくて可愛いかもしれないです・・・。(福岡市博物館のwebサイト内に木うその解説がありました。面白いのでご興味ある方はぜひ。九州各地の木うそ写真がなかなか刺激的?!)


今回ご紹介したものはお正月でなくても売っていますが、手づくりのものは、たまになくなっていることもありますのでご了承ください。神社やお寺に行くと、こういった和める縁起物が意外とあちこちにあって、面白いです。昔ながらのゆるキャラといった風情で楽しめます。
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