アメリカ製薪ストーブ。最大で長さ53センチの薪が投入できる。鋳物製。
2013年10月に東京九段に薪ストーブ&ペレットストーブのショールーム「グリーンフッド」がオープンしました。そこの責任者を務める野坂氏は薪ストーブに魅せられて早18年。
前篇では東京でも人気が出ているペレットストーブについて語っていただきましたが、今回は野坂氏の原点である薪ストーブの魅力を語っていただきました。
薪ストーブの魅力は「火のある暮らし」
―― 薪ストーブの魅力を一言でいうと、何なのでしょうか?「薪ストーブは男のロマン」と語る責任者の野坂氏。
また、ペレットストーブと比べても、薪ストーブは「めんどくさい(笑)」。まず薪を準備する。火も一発ではつかない。今も昔も変わらず、クラシカルな方法で火をつけます。手がかかり、時間がかかります。そこがまた魅力なのです。現在人気がある要因として、スローライフへの回帰があると思います。
燃料は木ですから、環境意識の高まりの中で注目されてきたということもあると思います。燃料費が安くなるわけではないけれど「環境によいのなら」と選ばれるお客様もいます。
薪ストーブとペレットストーブの違いは?
―― 薪ストーブとペレットストーブの違いを教えてください。野坂氏:ペレットストーブの炎は薪ストーブの炎に比べてやや人工的だと思います。ペレットストーブは電気がないと動かない電気製品で故障の可能性もありますが、薪は電気がなくても稼働しますし、故障もありません。東日本大震災後に「薪ストーブっていいね」という認識が広まりました。
もう一つの大きな違いは煙です。ペレットストーブは煙が出るとしても最初の3~4分間程度ですが、薪ストーブはどうしても煙が出ます。従って、薪ストーブには煙突が必要です。
―― 薪ストーブとペレットストーブで迷ったら?
野坂氏:薪ストーブは煙が出るため家がたてこむ都市部では設置が難しいという立地条件があります。
先ほどお話したように薪ストーブは本格的な炎が楽しめますが、手間ひまのかかるクラシカルな暖房器具です。従って、都市部に住んでいるけど火のある暮らしをしたい人、火のある暮らしに憧れるけれど、それほどマニアックではない人に向くのがペレットストーブだと思います。少し郊外に行って家と家の間隔が広い環境であれば薪ストーブも設置可能です。
店内の様子。手前の二つはボディは天然石、スリム&シンプルな薪ストーブ。最大薪長さ32センチまで。
遠赤外線で煮込みも!料理もできる薪ストーブ
野坂氏:薪ストーブは料理もできるんですよ。薪の熾火(おきび)を利用してローストビーフやピザが焼けますし、炊き込みご飯も作れます。ストーブの天板も200℃くらいになるので、カレーやシチュー、煮物などをコトコト煮込むとおいしいですよ。薪ストーブ本体は鋳物でできているので、その鋳物を通して均一な熱が料理に通ります。暖房機能だけでなく美味しい料理もできるということで、薪ストーブは女性の注目も集めています。次のページで薪ストーブを購入する人はどんな人か、またたくさんある機種の中から選ぶポイントをお聞きしました。