番組録画の手段は増えたが……
テレビ番組の録画機器には、1TB~5TBといった大容量HDDを備えたモデルが普及しつつある。ただ、番組容量が内蔵HDDだけで収まらなくなると、外付けHDDの増設やBlu-rayディスクへのダビングと本体HDDからの消去が必要になる。ところが、増設用外付けHDDは、メインの機器が変更されると使用できなくなる。テレビと外付けHDDを接続している場合なら、何らかの理由でテレビを買い換えねばならなくなると、外付けHDDは「それっきり」。録画した番組は見られなくなってしまう。Blu-rayレコーダーに外付けHDDを増設した場合でも同じだ。
Blu-rayディスクにダビングしておけば、比較的柔軟かつ安定的に保存しておける。ただ、ダビングに時間がかかる。
iVDR-Sという選択肢
このようなときに適した選択肢が、iV(アイヴィ)だ。iVは著作権保護機能付きのカセット式HDD(iVDR-S)で、デジタル放送を録画できる。対応機器に装着、番組をダビングして取り外せば持ち運べるし、次ページで述べるようにアダプタを使えばパソコンでの番組再生もできる。規格は、iVDRコンソーシアムが策定している。対応機器には、内蔵HDDとiV用カセットを備え、Blu-rayディスクにも対応した「BIV-WS1100」、上記に加えてiVスロットを2つ有する「BIV-TW1100」、プレイヤー専用の「VDR-P300」(いずれも日立マクセル)がある。また、日立製作所のテレビ「Wooo」(ウー)には、直接装着できる機種もある。プレイヤー製品以外は、iVDR-Sへの直接録画および内蔵HDDからのダビングが可能だ(Woooは直接録画のみ)。
持ち運べるiVDR-Sは一般的なスマートフォンとほぼ同じ大きさで、HDDの容量別で500GB、1TBの2種類が、日立マクセル、アイ・オー・データ、バーベイタムからメディアがから販売されている。ただし、日立マクセル製以外は店頭在庫は多くない。
1TBのiVDR-Sには、TS(放送そのままの画質)モードで90時間~126時間の地上デジ/BS/CSデジタル放送番組を記録しておける。これは、2時間相当の映画で約53本分もの容量で、Blu-rayの2層式ディスク(BD-DL、50GB)の15~21倍、新規格であるBDXL(100GB、128GB)の7~10倍に相当する。録画モードも複数から選べ、最大25倍での録画が可能。この場合、1TBのiVカセットで約2380時間の録画が可能だ。これだけの番組が保存できるので、メディア保管場所の節約になる。大量の録画データを保有したユーザーほどメリットが大きい。
iVのもう一つの特徴は、ダビングの際の高速さ。1時間番組のダビングに要する時間は約7分で、Blu-rayディスクより断然速い。内蔵HDDからiVDR-Sへのダビングはもちろん、その逆も簡単。当然ながら、番組の消去も高速で、繰り返し録画が可能。消去防止のためのロックも、番組ごとに設定できる。
次ページでは、パソコンでの使用について解説する