アンコール・トムの中心にある寺院「バイヨン」に圧倒
ジャヤヴァルマン7世が12世紀後半に設営したアンコール・トムは、王宮をもつ帝都です。その中心には仏教寺院「バイヨン」が建造されています。バイヨンを中心に十文字の道路がまっすぐに敷設され、要塞に作られた南大門、北大門、西大門、死者の門につながります。帝都の中心にあるバイヨンは、メール山の須弥山を象徴し、十文字の道路は須弥山から世界に広がる道、城壁はヒマラヤの霊峰、環濠は大海を表現したものだと伝わっています。
東西約160m、南北約140mの第一回廊と、第二回廊に囲まれた中央の敷地内の16基の尖塔には、東西南北の4面に観世音菩薩の像が彫り刻まれています。どの観世音菩薩も穏やかな微笑みを浮かべ、参詣する人を優しくクメールの微笑みで迎えているかのようです。菩薩の数は全部で196面あり、どこにいても菩薩の熱い眼差しが降り注いでくる、ありがたい空間となっています。
菩薩を囲む第一回廊の周壁には、数々のレリーフが施されています。アンコール・ワットに描かれるレリーフは宗教的、政治的な内容が色濃く刻まれているのに対して、アンコール・トムのバイヨンでは、庶民の生活の様子が至るところに刻み込まれています。チャンパ軍との戦闘の様子を描いたレリーフの中にも、料理をする女性や、建築現場の様子などが描かれています。
■バイヨン
住所:Angkor Archaeological Park, Siem Reap, Cambodia
営業時間:終日
定休日:年中無休
公式HP:バイヨン
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