クメール美術の宝庫「ライ王のテラス」
12世紀後半にジャヤヴァルマン7世は、要塞都市アンコール・トムを造営しました。一辺約3キロ、全長約12キロの強固な城壁に囲まれるほぼ正方形の敷地内に、数々の仏教寺院や、王宮、象のテラス、ライ王のテラスなどが建設されています。象のテラスの北側には、高さ約6m、一辺約25mでラテライトと砂岩を積み上げた「ライ王のテラス」があります。二重の壁面をもち、内壁と外壁の間に、曲がりくねった迷路のような道路が作られています。
内壁の面には、おびただしい数の彫刻が施され、クメール美術の宝庫を築いています。あまりの数の多さに目が白黒してしまいますが、おのおのの彫刻は個性的な表現をもち、じっくりと見ていると時間を忘れてしまいます。
ライ王のテラスの上には、ライ王の彫像が静かに佇んでいます。1965年にアンコールの遺跡に訪れた三島由紀夫は、ライ王伝説にヒントを得て三幕物の戯曲『癩王のテラス』を書きました。
「熱帯の日の下に黙然と坐してゐる若き癩王の美しい彫像を見たときから、私の心の中で、この戯曲の構想はたちまち成つた」と語っています。
■アンコール・トム
住所:Angkor Archaeological Park, Siem Reap, Cambodia
営業時間:終日
定休日:年中無休
ホームページ:アンコール・トム
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