空中から眺めるアンコール・ワットの巨大な伽藍はとても壮観
今では東南アジアを代表する遺跡として、世界中に知られるアンコール・ワットは、19世紀末まで誰の目にも触れることなく、熱帯の密林に隠れていました。この大遺跡を発見したのは、カンボジア人ではなく、イギリス人だったのです。1860年代にロンドン科学協会が派遣されたアンリ・ムオが、ジャングルの中に巨大な遺跡を発見しました。
アンコール・ワット最上層の第三回廊からは、熱帯ならではの濃い緑に覆われた密林が広がります。周囲に広がる密林が長年、アンコール・ワットを隠していたのですが、巨大な遺跡が人目につかなかったことは不思議でなりません。
ジャングルの中にそびえ立つアンコール・ワットを眺めるには、熱気球に乗るのが最適です。ここの熱気球は空に昇って水平方向に移動するものではなく、単純に気球を膨らませて垂直方向にまっすぐ空に昇り、高度は200mのところで約10分静止し、そのまま、まっすぐ下に降りてくるものです。
水平方向にも移動して、空中遊覧が楽しめるともっといいのでしょうが、垂直移動だけでも結構楽しめます。空中からジャングルの中に巨大な伽藍を並べるアンコール・ワットを眺めるのはとても壮観です。アンリ・ムオが遺跡を発見したときの心境や驚きが肌で実感できます。
東南アジア地域で最大規模を誇る寺院の全景が楽しめるばかりでなく、風が強い日には熱気球のスリルを味わうことができます。気球が傾くと足に力を入れて踏ん張ることになります。そんなときにはとてもカメラを下に向けることはできませんが、風の強さを見極めながら眼下に広がるパノラマ・ビューは見事というほかありません。