相続・相続税/相続税改正トピックス

平成25年相続税改正 国外居住者・国外財産に課税(2ページ目)

平成25年の相続税・贈与税の改正で、国外に居住する相続人等に対する課税が強化されました。一般の人にはあまり関係ないかもしれません。しかし、法律がどのように作られるのかということで参考になります。

執筆者:加藤 昌男

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今回の改正の背景(エピソード2)

租税法律主義

租税法律主義

現行では、国内に居住する人から外国籍で外国に住む人に対して国外財産を贈与した場合には、贈与税はかかりません。

これを利用して、息子の妻を渡米させ、出産。生まれた孫は米国籍を取得し、そのまま米国に住む。その孫に、国外財産(約5.5億円)を贈与した事例がありました。国は贈与税を課しましたが、地裁で国が敗訴し、法律を改正することにしました。
 

前回の改正の背景(エピソード1)

以前にも似たような事例がありました。某消費者金融大手の経営者である父親(国内に居住)から海外に住む子(日本国籍)に、外国の会社の株式(国外財産)を贈与したことがありました。国は「実態は国内に居住していた」として贈与税を課しました。しかし最高裁で国側の敗訴が確定し、国は高額な還付加算金を付けて還付した事例がありました。

これをきっかけに、日本国籍を有している場合には、外国に住んでいても、国外財産を課税対象にするよう法律を改正しました。
 

租税法律主義

「租税法律主義」という、近代の民主主義国家では租税に関する最も基本的な原理があります。日本国憲法84条でも「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」とあります。税を課すなら法律で行なうことが必要で、税務署が勝手に税金を課してはいけないというルールです。

前述の2つの事例とも実行時に法律上、課税対象ではないため、課税することはできないという訳です。

次は、被相続人・贈与者が国外に住むことで課税対象から逃れる人がでてくるかもしれません。

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