相続・相続税/相続税の申告・納税方法

延納・物納も可能な相続税…納付実態は如何に?

相続税では延納・物納が認められています。しかし、要件が厳しいのがネックです。相続税の納付の実態を確認しておきましょう。

執筆者:加藤 昌男

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相続税納付のルール

延納や物納できる金額は?

延納や物納できる金額は?

相続税は、申告期限(死亡から10ヵ月後)までに金銭で納付しなければいけません。しかし、金銭で納付することが困難な場合には、その納付困難な部分だけ最長20年で納付する「延納」が認められています。

延納でも納付することが困難な場合には、その延納でも困難な部分だけ、相続した土地などで納付する「物納」が認められています。
 

相続税納付の事例

斉藤さん(仮名)は遺産約6億円のうち3億4000万円を相続し、納付税額は1億円でした。金銭で納付することが困難なため、延納・物納を検討することになりました。
■金銭納付可能額
○相続財産の現預金と保険金、上場株式売却代金で2000万円
○自分財産から現預金・上場株式売却代金で1000万円
○金銭納付可能額3000万円=2000万円+1000万円

■延納許可限度額
1億円(納付税額)-3000万円(金銭納付可能額)=7000万円(延納許可限度額)
しかし、収入から年間300万円の納付資力があるため
年300万円×20年(最長延納期間(※))=6000万円(延納によって納付できる金額)
(※)不動産等の割合により異なる。斉藤さんの場合は3/4以上が不動産等であるため20年。

■物納許可限度額
物納許可限度額は、不足分の1000万円(※)のみ。
(※)1億円-3000万円(金銭納付可能額)-6000万円(延納で納付できる金額)=1000万円

結局、斉藤さんは金銭をかき集めなければいけないこと、6000万円の延納が大変なこと、さらに物納が1000万円しか認められないことから、銀行から借入れて納税しました。その後、相続した土地の一部を売却し、その借入を全額返済しました。

>>延納を認めてもらうための要件とは? 次ページで見てみましょう。

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