相続・相続税/遺言書の書き方

遺言ですべての財産を配偶者に相続させたい場合の文例

配偶者がお互いに財産を相続させたい場合の遺言の文例をご紹介しましょう。

執筆者:加藤 昌男

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背景

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遺言で配偶者にすべての財産を相続させるには

子どもがいない鈴木太郎さん(70歳、仮名)・明子さん(67歳)夫妻は、どちらかが先に亡くなったら、遺された配偶者にすべての財産を相続させたいと考えています。もしも今、太郎さんが亡くなってしまうと、子も親もいないため、明子さんと太郎さんの兄弟との間で遺産分割協議をしなければいけません。

そこで、太郎さんは、自分が亡くなったら明子さんに遺産のすべてを相続させる遺言を作成することにしました。明子さんも同様の遺言を作成することにしました。

さらに、配偶者が自分より先に亡くなってしまった場合も想定して、次に財産を渡したい人を指定します。

鈴木太郎さんの遺言文例

遺言書

第1条  遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、遺言者の妻鈴木明子に相続させる。

第2条  万一、遺言者より前に妻鈴木明子が死亡していたときは、遺言者は、遺言者の有する一切の財産を遺言者の弟鈴木義男(昭和18年8月5日生)に相続させる。

第3条  遺言者は、この遺言の執行者として、前記鈴木明子(鈴木明子が死亡しているときは、前記鈴木義男)を指定する。

平成24年7月26日
住所 東京都世田谷区世田谷5丁目5番5号
遺言者 鈴木太郎 印

鈴木明子さんの遺言文例

遺言書

第1条  遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、遺言者の夫鈴木太郎に相続させる。

第2条  万一、遺言者より前に夫鈴木太郎が死亡していたときは、遺言者は、遺言者の有する一切の財産を遺言者の妹吉田良子(昭和12年8月5日生)に相続させる。

第3条  遺言者は、この遺言の執行者として、前記鈴木太郎(鈴木太郎が死亡しているときは、前記吉田良子)を指定する。

平成24年7月26日
住所 東京都世田谷区世田谷5丁目5番5号
遺言者 鈴木明子 印

自筆証書遺言の要件

自筆証書遺言の要件は下記の通りです。いずれが欠けても無効になってしまいます。

  1. 全文を自筆で書く
  2. 日付(「吉日」は不可)
  3. 名前を書く
  4. 押印(できれば実印で)

共同遺言は無効であるため、別々に作成する必要があります。

自筆証書遺言では、要件を満たしていないために無効になってしまうものが少なくありません。できれば公正証書遺言にしておくことをお勧めします。

作成上の注意点

太郎さんの相続人は、配偶者と兄弟姉妹になります。兄弟姉妹には遺留分がありません。従って、明子さんは、遺言があれば、遺産分割協議を経ることなくすべての財産を相続することができます。

明子さんが太郎さんより先になくなってしまった場合には、太郎さんの遺言は無効になってしまいます。太郎さんの兄弟姉妹で遺産分割をすることになります。そこで、予備的に次の財産を取得する人を指定しておくことができます。これを「予備的遺言」といいます。


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