すぐ近くの喜多院は広い境内が気持ちよい。店へは塀の看板が目印。

すぐ近くの喜多院は広い境内が気持ちよい。店へは塀の看板が目印。

店の名前はブログと同様「うつわノート」。川越駅、または本川越駅(西武新宿線)から歩くと、20~25分くらいかかります。「小江戸名所めぐりバス」という観光バスを使えば「喜多院前」を降りて徒歩1分くらい。住宅街の静かな脇道をてくてく歩き、塀に掛った白い看板を頼りに左へ曲がれば、物語にでも出てきそうな赤い屋根の白い洋館が見えてきます。

店内

店内の様子

建物は築80年。白い木の門扉を抜けて敷地内に入ると、まずは小さな前庭があり、石畳の小道を辿った先に玄関があります。窓には朽ちた風情の白い木枠がはめられ、玄関周りにも格子状の白木の装飾があります。ひとつひとつのディティールが印象的で、いちいち目を凝らしてしまいます。古い家らしい段差のある玄関で靴を脱ぎ、暗い色をした板張りの床を歩きます。見れば見るほど優雅な建物ですが、6,7年ほど空いていた物件だったそうで、借りた当時の庭はジャングルのように荒れ放題。情緒ある部分は残しつつも、床を張り替え、照明も部屋に合わせてそれぞれ見繕い、この建物に似合うよう、全てを丁寧にチューニングしたそうです。
展示部屋は3つあり、玄関入ってすぐの、やや明るさを落とした静かなスペース、窓から自然光が爽やかに入る美術館のような小部屋、そして庭を一望できる畳の和室、と各部屋で趣向を凝らし、それぞれ雰囲気の違いを楽しめるようになっています。さらに第4のスペースは広々とした庭。春は桜、秋は紅葉を眺められるよう、大きな木々が植えられ、天気のよい日は小道の奥の緑に覆われたベンチで一休みすることもできます。

雰囲気の異なる4つの空間を楽しめる

雰囲気の異なる4つの空間を楽しめる


店主、松本さんは元々IT系の企業に勤めるビジネスマン。陶芸教室に通い始めたことをきっかけに、器の魅力にはまり込んでいきます。
「普段デジタルの世界で仕事をしていると、実体のないものが相手ですから、どうしてもリアリティが感じられないことがあるんですね。その点、陶芸は一貫して全ての作業を自分の手で行い、その重さや手触りを通して、目の前にあるものを確実に実感できる。そこにすごく惹かれました。また、仕事とは違ったコミュニティで、人とつながりができるのも楽しかったですね」。

今まで集めた膨大なご飯茶碗のコレクションも展示

今まで集めた膨大なご飯茶碗のコレクションも展示


2006年よりブログを開始。最初は自分の作った器を記録するためのメモのようなものでした。ロクロを始めてから、制作の参考のためにご飯茶碗を買うようになります。
「ご飯茶碗は形もシンプルできれいだし、初心者にも作りやすく収納もしやすいから、気軽な気持ちで買えるのでいいなと思っていました。でも作家ものなどを買い始めると、思った以上に多様で驚きました。見たこともない質感や釉薬の具合など、探求するほどに興味は尽きず、どんどんのめり込んでいきました」。
陶芸教室の粘土や釉薬ではもう物足りず、自分で取り寄せて調合する日々を過します。作家ものの作品を見ることでさらに刺激をもらい、ギャラリー通いが始まりました。
「ギャラリーに行くうちに、作品から次第にその作り手への興味が広がっていきました。彼らと会話を交わすようになり、そのシンプルで生き生きとした暮らし方には、目からウロコが落ちる思いでした」。

建物のディティールのひとつひとつが興味深い

建物のディティールのひとつひとつが興味深い


オープン時に送られたカードには、「現代の器づくりって何だろうと、少し文化的なことの関わりや道具のもつ造形美を見つめながら、その背景となる文脈まで含めてお伝えできるギャラリーになれればと願っています。」と書かれています。
川越は、歴史的な遺跡を多く残した魅力的な土地でありながら、東京からはちょっと遠く、なかなか行きづらい場所。それでもわざわざ来てもらえるのなら、「うつわノート」らしい何かを提案していきたい、という松本さん。5月13日から始まる企画展では、陶芸家・川淵直樹氏を紹介します。茶道具や美術品がもてはやされた時代から、こだわりを持たず自由に作陶し、生活用品としての器にも目を配っていたという川淵さんの新しい世界を表現します。松本さん自身もスケッチを描き、作家と共同で作り上げた作品が並びます。
「何年もたくさんの器や作家を観てきましたので、ここでは自分が好きなものというより、器の世界の多様性を伝えていきたいと思っています。民芸もあれば、現代アートもあり。それぞれの良さをいろいろな視点で感じてもらえたら嬉しいです」。

各部屋のランプも趣向が凝らされている

各部屋のランプも趣向が凝らされている


最後に松本さんに器の魅力について聞いてみました。
「手に持って、さわれる、ということでしょうか。ギャラリーなどでも、みんな無意識になんとなく手で触って、理屈抜きに理解し、実感している。手で触れて感じるという体験には、言葉を超えた何かが存在すると思っています。そして器を置くときには音が聞こえ、使うときには口にして味わうこともある。五感を駆使して楽しむことができるのが、器の魅力だと思います」。



展示会の案内
★次回展示会
川淵直樹 × うつわノート The Basic
2011年5月13日(金)~24日(火) ※5月18日(水)は休み
11:00~18:00
今回の展示用に作った、ベーシックで普段に使いやすく新しい器が約350点、及び、川淵さん独自の器約200点が並びます。


 
外観
ギャラリー うつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
tel 049-298-8715 
営業時間: 11:00~18:00 水曜・木曜定休  ※展示会期間中は変更あり
http://utsuwa-note.com/

 


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