村岡:ファンドマネージャーが銘柄選択を行なうアクティブ運用型の投信も価値があると思いますが、選ぶのが難しいですよね。
澤上:投信全般で要注意なのは、数年程度で運用が終了してしまう投信も多いことだ。それでは、そもそも長期保有ができないよね。次に、アクティブ運用型の投信を選ぶなら、まずは何本か、1万円ずつ買ってみるといいんじゃないかな。買ってみれば、いろいろわかる。運用の考え方や中身を比べてみて、その中に納得できるものがあれば、積み立て購入を始めればいい。インデックスファンドはしょせんインデックスだが、投資に、自分の思いや気持ちをのせられる、というのがアクティブファンドの魅力だと思う。残念ながら、本格派の長期アクティブ運用ファンドの数は少ないけれど。
村岡:比べる、というのはいい方法ですね。たしかに長期で続けるには、信頼できることが大事であり、その意味では、思いを乗せられる、ということが重要だと思います。金融危機のあとは悲観論も広がりましたし、東日本大震災のあとには、私の元にも、日本株投信を売ったほうがいいか、という相談が寄せられました。大きく値下がりすると、不安になるのは無理のないこと。そんな中、さわかみ投信さんをはじめ、直販投信の多くがメッセージを発信していましたね。
澤上:生活基盤の再構築や経済再建で頑張ってもらわなければならない企業を長期投資家が応援すべき、明るく元気のある行動が求められる、ということを伝えたかったんだ。
村岡:悲観論が広がっているときでも投資を続けるには、強いメッセージが必要だと思います。投資家の方々にとって、混乱時のこうした対応はとても心強く、自分なりに考えるきっかけにもなったのではないかと思います。
澤上:今こそ長期投資家の出番だからね。
村岡:さわかみファンドは資金流入が続いていて、投資家からの信頼が厚い。今回に限らず、情報発信が充実していますし、発信する情報の中に「想い」が感じられるのが、大きな特徴ですね。
澤上:運用開始してからこれまで、一部、解約もあったし、収入が減って積み立てを休んでいる人もいる。事情は個々で異なるし、考え方もいろいろだから、それはそれでいいと思う。それでも多くの人が保有を続けてくれているのは有難いね。
長く付き合っていける投信を選ぶ
村岡:私は金融機関に勤めていましたが、そのときも、お金、お金という考え方の方より、視野が広い、落ち着いた方の方が利益を得ているなぁと感じました。お金をどう使うかにはその人の人格が表れるように、投資先をどう選ぶか、どう投資するかにも、その人の価値観が出ますよね。
澤上:子どもたちにより良い社会を引き継いでいくためには、次世代にも必要な会社を応援していかなければならない。そのためには、自分でしっかり考えて投資先を選んだり、どんな投信に銘柄選択を委ねるかを考えることが大切だよね。
村岡:自分がいいと思う会社の株を買うのももちろんいいですが、初心者にはハードルが高いというのが、私の実感です。投信の積立購入を資産形成の軸にして、余裕があれば株式投資を始めるといいと思います。ところで、澤上さんは、多くの人々の資金を運用している、ということにプレッシャーを感じることはありませんか?
澤上:責任は感じるよ。ただ、大きく儲けよう、というのではなく、預貯金中心に、地道に生きてきた人たちと一緒に、とことん正直に、誠実にやっていこう、というのを信念としてやっていくだけだと思っている。それが揺らぐことは絶対にないね。
村岡:儲かりそう、ということではなく、この投信となら長く付き合っていけそう、といった「フィーリング」も大事ですね。
澤上:同感だね。
村岡:時間を味方につけることが大事だし、時間を有効に生かすためには長く続けられる方法をみつけることが大切。私もそのことを伝えていこうと思います。
将来に備える投資信託ってどんなだろう?