長期保有に向かない投資信託もある?
老後のお金など心配で、貯金や投資をしているのですが、それでもまだ不安です……
K山:45歳のシングル女性です。大企業に勤務していて、33歳のときにマンションを買いました。何度か繰り上げ返済をしたので、55歳でローンは完済予定です。今はローンを払いながら、毎月6万円貯金しています。
澤上:頑張っているね。
K山:それから、貯金が700万円あるほかに、300万円は投資しています。投資信託が200万円、株が100万円です。
澤上:すでに資産が1000万円あって、60歳でリタイアするとしてもあと15年働ける。全然問題ないね。もっと投資しよう。
K山:え~。問題ないですか? 私自身は不安がいっぱいです。要介護の親は兄夫婦が面倒をみてくれていますが、私も介護が必要になったらどうしよう、とか。いずれマンションのリフォームも必要だし、介護施設に入居するお金もいるだろうなあ、とか。
澤上:それできちんと貯めて、投資もしているわけだ。で、投資はどうなっている?
K山:投資信託は値下がりしていますが、投信は長期投資が基本と聞いているので、そのままにしています。いつか、戻りますよね?
澤上:おいおい、呑気だな。長期投資と長期保有は違うし、投資信託の中には長期保有に向かないものもあるよ。どんな投信を持っているの?
K山:ほとんどは新興国に投資するタイプです。
澤上:買っている投信、どれも純資産総額がコンスタントに増えている?
K山:分からないです。純資産総額が増えているかどうかは、大事なんですか?
澤上: 純資産は値上がりによって増えるほか、投信への資金流入、つまり、この投信いいね、といって買う人が増えることによっても増加する。保有者、純資産が減っていく投信も少なくないが、それでは運用に支障が出るし、途中で償還されてしまうこともあるよ。
K山:長期保有するつもりなら、純資産も要チェックなんですね。
澤上:平均寿命から考えて、K山さんは40年位持っていられる投信を選びたいね。ためしに、直販投信を2本位買って、今持っている投信と比べてみるといい。
40年付き合える、本物の投信を探す
直販投信では、運用レポートでメッセージを発信しているので、運命共同体のような一体感を感じるはず
K山:直販投信って、なんですか?
澤上:運用会社が販売会社を通さず、直接、投資家に販売している投信だよ。私がやっている「さわかみ投信」もそのひとつ。いろいろ勉強してみると良いよ。それぞれカラーもあるしね。
K山:へ~。
澤上:一般的な投信は、設定時に大々的な営業をかけて多くの資金を集めようとする。そういった投信は値上がりすると利食いのために解約され、純資産が減ってしまうものが少なくない。とてもではないが、長期保有はに向かない。
K山:償還されてしまうかも知れないですしね。
澤上:直販投信は販売手数料がゼロで、長く付き合ってもらう長期保有型の投信として運用されているんだ。毎月毎月運用状況や、投資家への想いが詰まった運用レポートが届き、運命共同体のような一体感があるはずだよ。
K山:暴落したときなど、レポートがくると安心ですね。でも、今までさわかみ投信さんの広告ってあまり見たことない気が……。
澤上:営業するといろいろなお客さんが入ってきて、中には短期でドタバタ売買する人も出てくる。そうなると、資金が安定しないことで運用に支障をきたし、長期投資したいお客さんに迷惑がかかる。本気でどっしりとした資産形成したい人だけが、口コミで集まってくるのも、直販投信の特徴といえるね。