お金持ちの中には、お金を持っていながら、一生懸命働き、つつましく暮らしている人もたくさんいる。
S木:素敵ですね!ところで、ここのところ夫のボーナスが減ったり、勤務先ではリストラもあったようで、夫の収入が心配になり、私も働くべきなのかなと悩んでいるのですが……。
澤上:いやでなければ働くといいけど、働くべきとはいいたくない。べき、べき、という考えに捉われると、人生がせせこましくなってつまらないからね。収入のためだけに働くより、働くことは社会と関わることだと考えよう。社会や人との触れあいを通じて、人生を豊かにしていくんだ。
知人のあるスウェーデン人女性は、二人の子どもが手を離れてから大学に入り直し、刑法を学び、大学院までいったあと、受刑者のコンサルティングという仕事についた。ボランティアもたくさんやっていて、社会や人との接点があり、人生も豊かでお金もあって、キラキラしているよ。
S木:カッコいいですね! 家計の収入のために……、夫の収入が心配だから……といって働いていたら、そんな豊かな人生はおくれないかもしれませんね。
タネ銭なしでも大丈夫! 長期保有型の投資信託を積み立てで買う
まとまったお金がないのなら、長期保有型の積立ファンドから始めるといい
S木:主婦の私にも投資はできるでしょうか?
澤上:長期保有型の投資信託を積み立てるといいんじゃないかな。投信なら毎月1万円程度から積み立てられるから、まとまったお金がなくても始められる。
S木:なるほど。でも、どうやって選べばいいんでしょう?
澤上:本格的な長期保有型の投資信託で、純資産がじわじわ増えているものを選ぶのがよい。純資産が増えているということは、利益が出ているということであり、お客さんが広がっているということでもある。減る一方の投信では、いつ運用が終了になってしまうか分からないから、長期保有には向かないね。
S木:長期保有型投信というのは?
澤上:株が十分に上がった段階で株を売って利益確定し、次に買いのチャンスがくるまで現金の割合を増やす……など経済の大きな波に乗り、自由に運用していくタイプの投信だね。つねに国内の株式にチャンスがあるとは限らないから、状況に応じて債券や海外に投資できる投信の方がいい。
S木:でも投資信託ってたくさんありますよね?
澤上:投資信託の数は多いけれど、残念ながら本格的な長期保有型の投資信託はほとんどないね。一般的な投信の場合は、市場の動きをみながら、自分で売り時を判断することも必要になる。売り時を見極めるとかめんどうなこと考えずどっしり乗っかっていて、お金が必要なときに解約する、といった使い方ができる投信が究極の長期保有型だと思うよ。
S木:私にもできるかしら。
澤上:日本には長期投資でお金を増やすというお手本がいないから、不安になるのも仕方ないね。運用会社が販売会社を通さず、直接、投資家に販売している直販投信では、定期的に投資家へメッセージを出したり、セミナーをしている。メッセージを発信したり、対話することで、安心して運用を託してもらいたい、一緒に資産を育てたい、という思いがあるからなんだ。
値下がりして、どうしようかなと思っているうちにレポートが届き、それを読んで、どうして下がっているのか、これからどうなるかを知る。われわれのさわかみファンドも直販投信だが、それで踏ん張れた、というお客さんがいっぱいいるよ。
S木:自分の持っているファンドについてきちんと報告が届くならば、何だか安心できそうですね。もし値下がりしたときに原因が分からず、やきもきして家事もできなくなったりしたら困りますからね。
私たちの老後までの30年をたっぶり生かしてお金を増やさなきゃ! 投資のはじめの一歩として、さっそく投資信託の積立を始めてみようと思います。