雑貨/古道具・アンティーク

丸の内・PASS THE BATON

9月3日にオープンした「丸の内ブリックスクエア」。その一角にユニークなリサイクルショップができました。一筋縄ではいかない、素敵な品揃えと販売システムが魅力です。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド



外観
丸の内らしい、落ち着いた雰囲気の店構え。


9月3日、 Marunouchi BRICK SQUARE(丸の内ブリックスクエア)がオープンしました。 「タイムレスコンフォート」をコンセプトに、飲食・物販のお店が合計36店舗。 日本初登場のチョコレート店、洋菓子店や、 手品ショー、お茶屋遊びが楽しめる個性的な飲食店など、 ちょっと捻りのある気の利いた店が軒を連ねています。 建物の真ん中には、ぽっかりと中庭のようになった緑の広場があり、 都会にいながらほっと安らぐような雰囲気。 明治時代の洋館を意識したノスタルジックなインテリアにも和みます。

今回ご紹介する店は、そんな中にある「リサイクルショップ」です。 リサイクル、といってふとイメージするのは、よく商店街などにある、中古家電 や衣料など生活回りの不用品を売る店。はたまた銀座などの一等地に店を構え、ブランド品や時計など高級な ものばかりを扱う店。 しかし、ここはそのどちらでもありません。 全面ガラス張りの明るい店内には、 様々なものが並んでいるのが外からでも良く見えるのですが、 ジャンルが幅広く捉えどころがないせいか、一見しただけでは何の店かよくわかりません。 しかし決してやみくもに雑多なのではなく、 センスに統一感があり、程よく品のいいごちゃつき方なのです。 この店は一体なんだろう?と好奇心がうずき、自然と店内に吸い込まれそうになります。

個々の持つ価値観を共有し、交流できる場所

無造作なようでいて、 何かストーリーを感じさせるディスプレイ
店の名前は「PASS THE BATON(パス・ザ・バトン)」。 お店のロゴマークもリレーのバトンを渡す手と手を描いた、どこか温もりを感じるイラストです。 自分の使わなくなったものを、使いたい誰かへ渡す、 というのがリサイクルの基本ですが、 ここではただモノの売買をするだけではなく、 モノを通して、個人がそれぞれに持っていた価値観も一緒に共有するような 仕組みをしのばせています。

この店のプロデューサーは、「Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)」や ネクタイブランド「giraffe」 などを運営する、スマイルズ代表の遠山正道さん。
「従来のリサイクルショップでは、いらないから処分したいもの、または ブランドなどの高級品が並ぶことが多く、 売るほうはできるだけ高く売りたいし、 買うほうはできるだけ安く買いたいという、お互いが相容れない立場でした。 そうではなく、その人自身の個性やセンス、 たどってきた歴史を理解して、お互いの価値観を尊重し合い、 納得のいくやり取りでモノの売買ができないかと考えました。 今モノは売れない時代。店をやるなら何か新しい意義の あることをしたいと思ったんです」。

店内
店内の様子。リサイクル、という雰囲気ではありません。
置いてあるものは様々ですが、気持ちよい統一感があります。


出品できるものは、雑貨や衣類など日常的な生活用品。 といっても、PASS THE BATONなりのルールがあります。 出品者は自分のプロフィールや写真も添え、 個人の持つ歴史や価値観、モノが持つストーリーなどが分かるよう情報を登録・発信します。 購入者は、以前に使っていた人の顔が見え、 その人の思いを感じながら、モノを手に取ることができます。 東京は基本的にモノが集中し、溢れているところ。 売って儲けよう、というよりも、 まだ思い入れはあるんだけど手放すことになったものを、 むやみに捨てたり粗末に扱わずに、 大事に使ってくれる相手にきちんと受け渡していこう、というシステム。 ここから先は頼んだぞ!とバトンを手渡すように、モノが 丁寧に流れていくことを目指しています。 現在は遠山さん本人をはじめ、クリエイターやスタイリストなど、 知る人ぞ知る個性的なメンバーが出品していますが、 一般の方の出品参加も徐々に整えていくとのこと。 また、売り上げはチャリティーへ回すこともできます。


店内
質のいいごっちゃり感。丸の内のど真ん中で宝探し気分。テンション上がります。


この店はWEBのオンラインショップとも連動し、 ワールドワイドに売買ができるようなシステムとして考えられています。 オンラインショップは現在はまだテスト運転中ですが、11月頃のオープン予定。 様々な国の文化や価値観を共有し、お互いが交流できる場所でありたい、 と語る遠山さん。 マンガや秋葉原だけじゃない、 東京という刺激的なカルチャーを発信すると同時に、 モノを丁寧に扱う日本人らしい習慣なども、やはりカルチャーの一部として 届けられたら嬉しい、とのことでした。

次ページでは、販売しているものをいくつかご紹介します。
店の様子
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