リバランスの発想で売り時を逃がさない
買うのは簡単だけれど、売るのは難しい…ということを実感している人もいるでしょう。売り時を逃さないためには、投資を始める前に売買のルールを決めておく必要もあります。深野さんは、「個別株ならPERやPBRから見て割高になったら売る、投資信託ならば急激に上がったら売るなどルールを決めて、きちんと実行するべき」とアドバイスします。「ルールを決めても実行できないのなら、『売る』ではなく『リバランスをする』という発想に変えてみましょう。ポートフォリオ全体を見て、当初の投資比率よりも増えている商品があったら、その商品の増えた部分を売り、当初の割合よりも減っているものを買い足すようにします。リバランスは、年1回程度でいいでしょう」
利益も額ではなく率で見ればモチベーションが続く
投資金額が小さい小回り投資には、儲ける金額も少ないため、「儲かった」という実感が湧きにくいという泣き所があります。儲かった実感が得られないと、売りのタイミングになっても、「もっと儲けたい」という欲が湧き、売らずに持ち続けたくなりがちです。その結果、売り時を逃して、気づいたら損をしていて塩漬けに…なんてことになりかねません。「小回り投資では、投資の尺度を金額から利率に変えて考えましょう。仮に、5万円の投資資金が5万5000円になった場合、金額で考えると『たったの5000円』ですが、利率ならば『10%』。普通預金の利率の約500倍ですから、儲かったと思えるはずです」。 利率で考える習慣をつければ、小回り投資へのモチベーションも継続します。
損切りはスタンスにあわせて実行
相場が自分の予想と反対に動いて損が出た場合は、損切りも大切です。とはいえ、「損切りをするかしないかは、投資スタンスによっても変わってくる」と深野さんは話します。「日本株やFXで、小さな利益を積み重ねる場合、一度の大きな損で利益が吹き飛びかねないので、損切りが大切です。特にFXでレバレッジをかけた場合は、確実に損切りをしましょう。一方、円安の時に輸入品の価格が上がって生活に影響が出るリスクを軽減するためのリスクマネジメント的な意味合いで外貨建てMMFを積み立てているのであれば、損切りの必要はありません。むしろ、円高が進んで損が出ている時には、ナンピン買いをしてもいいでしょう。ただし、大きく損をすることもありえるので、放っておけるお金で投資するのが鉄則です」
外貨で小回り投資するには? まずは基本戦略をチェック!
取材・文/大山弘子 監修/深野康彦(ファイナンシャル・プランナー)、 村瀬 智一(株式会社フィスコ)