悪性腫瘍の中でも大腸癌による死亡数が年々増加しています。特に女性では2004年には大腸癌による死亡が、悪性腫瘍(悪性新生物)における年齢調整死亡率(注)で第一位となりました。原因としては、食生活の変化や運動不足の影響が考えられています。今後も更に増加することが見込まれている大腸癌の予防法についてご紹介します。
(注)年齢調整死亡率:年齢構成の異なる地域間で比較するため、年齢構成を調整した死亡率のことを指します。
大腸癌を発生させる要因は?
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癌の予防だけでなく、生活習慣病の予防のためにも野菜や果物をしっかりと食べましょう |
多くの疫学研究を基に2003年に世界保健機関(WHO)から、各種の癌の危険因子と予防因子について発表されています。それぞれについてconvincing(説得力のある、確実)、probable(可能性の高い、おそらく)、possible(そうかもしれない)、insufficient(証拠不十分)と4段階に分類されていますが、このうち大腸癌を発生させるのに確実、もしくはほぼ確実な危険因子を網羅すると以下のようになります。
Convincing(説得力のある、確実)Probable(可能性の高い、おそらく)あくまでも主に欧米でのデータを基にした発表ですし、今後の研究によっては更に改編される可能性がありますが、少なくとも大腸癌の増加には運動不足が大きく関わっていることは間違いなさそうです。では危険因子に対して予防因子、大腸癌の危険性を減らすにはどのようなものがあるでしょうか?
大腸癌から体を守るためには?
同じくWHO発表のデータを基に、大腸癌を発生させる要因として確実、もしくはほぼ確実なものに加えて、可能性があるものの一部を示します。あれっ、と思う項目はありませんか?
Convincing(説得力のある、確実)Probable(可能性の高い、おそらく)Possible(そうかもしれない)、insufficient(証拠不十分)- 食物繊維
- 大豆
- 魚
- 各種ビタミン(B2・C・Eなど)
- その他(イソフラボンなど)
今までに大腸癌の予防効果があると考えられてきた食物繊維は、この結果では疑問視されています。日本でも野菜・果物摂取によっても大腸癌の危険性を下げることはできなかったという報告もある反面、野菜摂取不足によって大腸癌の危険性が高まったという報告もあります。統括して述べるならば
野菜・果物を多く摂取しても大腸癌を防ぐことは難しいが、極端な野菜不足は大腸癌の危険性を助長するといったところでしょうか。食物繊維は大腸癌だけでなく生活習慣病にも関わってきますので、やはり野菜・果物は毎日十分摂取するべきと考えます。
また、多くの病気で早期発見・早期治療がキーワードですが、大腸癌は他の悪性腫瘍と比較しても、早期に見つけることでより良好な治療成績が得られます。では、そのためにはどうすればよいでしょうか?
(注意)大腸は直腸・S状結腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸に分類されます。小腸から肛門までの流れを示すと、以下のようになります。
小腸→盲腸(上行結腸の下端部のこと、虫垂もこの位置にあります)→上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸→肛門
次のページでは大腸癌の発見方法をご紹介します。