この「暗」が今の住宅から消えかけている
虫干しに出された布団にくるまってした昼寝を思い出す
奥の座敷で山岡鉄舟直筆という掛け軸に感心し、広大な庭からの陽光と風を受けて過ごすうち、子ども時代に過ごした田舎の家がなつかしく思い出されてきました。今はなき実家に久しぶりに帰ってきたような感覚。そこには祖父母、父母、子どもたちという大家族が日々生活していた空気感が今も漂っています。時の流れというのはせつないものですね。
気を取り直して庭に下り、茶室を覗いたあと、建物の後ろにまわると、五右衛門風呂の浴室や農具や生活用具を収めた馬小屋とおぼしき別棟がありました。これらはひとつひとつ主屋とは離れた形で配置され、廊下や屋根でつながっていません。
農具などの古い民具には、私が子どもの頃にはまだ使われていたものもあり、この30~40年の近代化がいかに急速だったかをあらためて知らしめます。五右衛門風呂はたしか小学校に入るまで使っていました。釜の底に足がふれると、けっこう熱かったのをよく覚えています。
■宮野古民家
目黒区原町2-5-8
東急バス渋谷駅から洗足駅行
原町交番前下車
03-3712-0100
10:00~16:00
月曜定休(7/13~18は休み)
入園料200円
次回では、引き続き旧栗山家主屋をご紹介します。