Financial markets are supposed to swing like a pendulum: They may fluctuate wildly, (中略) but eventually they are supposed to come to rest.
金融市場は振り子のように行ったり来たりするものだ。ある時には激しく変動するが、やがては静かに落ち着いてゆくだろう。
Financial markets are like a pendulum 「金融市場は振り子のようだ」
世界3大投資家の一人、ジョージ・ソロス。その冷徹とも言える投資哲学を表すのが今回のキーフレーズ、“swing like a pendulum”です。頭の中に思い浮かべてみましょう。“pendulum” は「振り子」ですから、ゆっくりと、そしてたゆみなく振れ続けるイメージ…あるいは、新宿のNSビルに行ったことがある人ならば、ギネスブックにも認定されている世界最大の振り子時計を思い出してみてください。
この「振り子」が表すのは金融市場そのもの、とソロスは言います。つまり、市場というのは、ムチャクチャな激動の時代と、順調に拡大する時代の間を揺れ続ける振り子である、と。たとえば、今の市場はかなり激動の方に振り切れているようなものですが、やがては成長の時代に戻っていく…そんな見通しが立てば、たしかにソロスのように投資で巨額の富を得ることもできそうですね。
ソロス氏の発想、面白いですね。「今」しか見えていない我々は、「すごい時代になっちゃたなぁ」とサブプライム後の世界でオロオロするばかりですが、それでは投資で儲かるはずもありません。「振り子の理論」を使って「次の次」まで見通して、ここぞと言う時に一気に勝負に出る…というのは、実は優秀な投資家に共通の要素かもしれません。
だって、憶えてます?このコラムの前回、前々回と、私たちはタイプがまったく異なる、それでも巨額の儲けを手にしている投資家を見てきました。長期の成長に賭けるウォーレン・バフェットと、市場の混乱を利用して底値で高笑いする「墓場のダンサー」ことサミュエル・ゼル。一見するとまったく対照的な手法を使っていますが、実は共通するカギを解くのが、今日紹介した「振り子の理論」と言ったら言い過ぎでしょうか?
だって、バフェット氏は振り子が「成長」に戻ってくることを前提として投資先の企業を選び、ゼル氏は市場が混乱の極みに「振れきった」時こそが儲けを得るチャンスと爪を研ぐ…。単に、どちらに注目しているかの違いだけで、一つの「振り子」を見ているという観点では、同じと言えるかも。
もしこれが当たっているとしたら、次はあなたの番かもしれません。いまの経済情勢は振り子でいえばどこに当たるでしょう?まだまだ混乱に向かう途中?それとも、混乱の頂点からやや成長に戻ってきたところ?こんな考えで、自分の投資戦略を見直してみると新しい発見がありそうですね。
前回のコラム、「『墓場のダンサー』と呼ばれる伝説の投資家」では、「同じ経済ダイヤモンドモデルを見ながら、なぜ違うやり方になるのだろう?」という疑問を投げかけましたが、今回がその答えです。よく、「経済は生き物」と言われるとおり、ダイヤモンドモデルも日々動いているし、もう少し長期スパンで見てみると、混乱という極と安定という極が互い違いに表れてくると「振り子の理論」は示していますが…ちょっと難しかったでしょうか?次回はもっとシンプルに、世界ナンバーワンで有名な科学者も信じる投資の絶対真理を紹介します。