この映画は西アフリカにあるシエラレオネという国でダイヤモンドが引き起こした国際的惨劇をベースにした物語です。
今回は「ブラッド・ダイヤモンド」の上映を控え、宝石の中でも最も人気の高いダイヤモンドの秘密にせまります。
ダイヤモンドの歴史をふりかえると?
ダイヤモンドは世界で最も硬く美しい石として世界中で珍重されていましたが・・・ |
このダイヤモンドが世界で最初に発見されたのは、今からおよそ2500年~2600年前、インドにおいてといわれています。インドではその後ダイヤモンドは宗教儀式に使用するための装飾品として活躍するようになり、持ち主に幸運をもたらすと信じられるようにもなりました。
ダイヤモンドはその後貿易を通じて各国に伝わり主に装飾品や産業用のツールとして使用されていたようです。
ダイヤモンドはローマ帝国にも伝わり、当時研磨の方法を知らなかったローマ人にとって、装飾品の宝石としてではなく何よりも硬い神秘的で不思議な力を持つお守りとして利用されるようになりました。
やがて、研磨技術が発達しキリスト教が広まると、ダイヤモンドの神秘性は迷信として否定され、その後1000年にもわたりダイヤモンドは市場から姿を消してしまったといわれています。
一方、わが国にダイヤモンドが本格的に輸入されるようになったのは比較的新しく明治期以降です。その後1960年頃になると、商業的マーケティングによりダイヤモンドの婚約指輪が人気を博し、消費量が高まりました。
ダイヤモンドにからむ利権が世界中に惨劇をもたらしている事実をご存知ですか?
最強の硬度とブリリアントな輝きを持つダイヤモンドは世界各国で最も価値の高い宝石として取引されていますが、それが故に世界中に争いを引き起こしていることも事実です。ダイヤモンドに絡んだ争いは枚挙にいとまがありませんが、中でも映画ブラッド・ダイヤモンドの舞台ともなったシエラレオネの内戦は歴史至上最も残虐で悲惨な出来事の一つとして世界を震撼させました。
シエラレオネは1961年イギリスからの独立を獲得して以来ダイヤモンドを始めとする天然資源を経済力として近代民主国家としての道を着々と歩んでいました。ところが、反政府組織である革命統一戦線(RUF)がダイヤモンドを資金源として活発なゲリラ活動を始めると国内は混乱に陥れられました。
一時は政府との間に和平協定を締結したRUFでしたが、代表(評議会会長)のコロマ少佐はまもなく和平協定を破棄し、ダイヤモンドの利権を思うままに操り始めました。コロマ少佐率いる反政府軍は政府に対するデモンストレーションとして、罪のない一般住民の手足や耳、鼻、唇を切断するなど残虐行為を繰り広げました。
一時先進国の女性がダイヤの指輪を一つ買うたびに、シエラレオネで女性の手足が切り落とされているといわれたほどでした。
当時世界のダイヤモンド市場全体に占めるRUF絡みの密売ダイヤモンドのシェアは10%にも登ったといわれています。
その後西アフリカ諸国平和維持軍がコロマ少佐を追放することに成功し、副議長のサンコーは和平協定に応じます。しかし、国連平和維持軍のPKOやWFP(国連世界食糧計画)などによる人道支援活動にも関わらず、西アフリカ諸国平和維持軍の中心であったナイジェリア軍が経済的理由で兵を引き上げたためRUFは再び戦闘を開始することになったのです。
次のページではダイヤモンドが放つバイブレーションの秘密を公開します!