琳派展VII「若冲と琳派-きらめく日本の美-細見美術館コレクションより」
雪の積もった冬の日、地面に残った餌を探す雄鶏が描かれている。若冲ははじめ狩野派につき、宋元明の中国絵画を独学し、さらに実物の写生を行い、独特の個性あふれる画風を形成した。若冲は鶏を実際に飼い、繰り返し描き続けたが、本図では虫をついばむ鶏という伝統的なポーズを踏襲している。竹は、まっすぐに節目正しく生長して、四季を通じて青々と茂ることから、四君子の一つに数えられる。しかし、本図の竹は、節でジグザグに折れ曲がって絡み合い、奇妙な姿で描かれている。ホイップクリームのような雪が積もっているが、竹に絡みつく粘着質な雪にも見え、何とも不思議である。さらに墨で描いた草一本ずつにも雪が積もっており、細部までこだわる若冲の性格まで読み取れそうな表現といえよう。本図は、字の「景和」を署名に用いており、若冲と名乗る以前の作であることを裏付ける。「動植綵絵」に見られる超現実的な表現が、すでにこの頃から準備されていたことをうかがわせる作品である。(細見美術館) ※伊藤若冲関連書籍情報 |
展覧会の趣旨
伊藤若冲は江戸中期に京都で活躍し、青物問屋の主人から奇想の画家へ鮮やかに 転身後、85歳で生涯を終えるまで精力的に活動しました。あらゆるものを観察し、 描き、そして内から溢れる力、生命力をも表現しようとしたと言われています。琳派は江戸時代の京都や江戸を舞台に華やかに展開しました。暮らしの中の美術 として屏風や掛け軸等に用いられ、美しい季節の移ろいやおもしろみが表現 されています。
雅趣を異にしながらも、ともに芸術性と人気の高さを誇る「若冲」と「琳派」の コラボレーションは、江戸美術を豊富に有する細見コレクションならではのものです。
展覧会の概要
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