日本画/日本画関連情報

portrait(3)-土屋聡

同じ風土で優れた仕事を残した人々が「何をどう感じ、いかに創意工夫したか」を学んでその数寄ぶりを吸収しつつ、自分の中で新旧自他混合することに創作の可能性を感じています。

執筆者:松原 洋一

TSUCHIYA SATOSHI
        

土屋聡
1967年 神奈川県生まれ
1994年 東京芸術大学修士課程大学院保存修復技術日本画専攻修了 →詳しい経歴

好きな言葉/自分にピッタリするものは自分で作る

毎週土曜日に新作スケッチを掲載/ホームページ

All About Japan ガイドサイトで興味あるテーマ→【バイク】

◇表現したいものについて

私は現在“作品の魅力とは作家の人間性”というシンプルな考えにたどり着いています。そのため、私はどのような人間像を理想とし、どうすればその理想に近づけるか、ということを常に意識しています。

私は旅や自然観察をとおして、生物がそれぞれの環境に適応して変化しながら生きていくのを知り、それなら、私自身はどのような環境に適応して生きているのだろう?という視点から、自らの生活を取り巻く気候や植生などの自然環境や、生活習慣や歴史などの社会的環境を観察するようになりました。

現代の日本では、アメリカ流の「新しいものは良い」という消費経済の価値観が主流にあり、「古い」という一言であらゆるものが捨て去られ、継承という意識は希薄です。けれども一個人が生まれつき持てるものには限界があり、知恵を積み上げていくことをおろそかにするなら、人は足踏みを繰り返すほかない、と私には思えます。処構わずブルドーザーで整地して新品の箱を据えるような方法ではなく、私は同じ風土で優れた仕事を残した人々が「何をどう感じ、いかに創意工夫したか」を学んでその数寄ぶりを吸収しつつ、自分の中で新旧自他混合することに創作の可能性を感じています。

現在私が「花」をテーマにしているのは、植物のもつ美しさや造形の多様性に興味があるという理由とともに、この風土の歴史上、絵画・園芸・茶道・華道・詩歌などの分野の多彩な人々が「花」に携わった結果として膨大に積み上がっている様々な人間の知恵や工夫、思想との対話が面白いからです。
◇自分の作品について

私にとってこの絵が印象深いのは、草書の先生との出会いがあり、「書」の構図考案についてお話をうかがう中で「失敗したのをチョキチョキ切っていろいろ組み合わせてみる」という、同じものを何枚も書いてベストな作品を生み出す「書」ならではの発想に刺激を受けたからです。

絵を描くに必要な目と手と頭の修練のうち、目と手の技術は経験を積むことで鍛えられますが、頭が固定観念で埋まっていると(たとえ目と手を自在に動かせても)決まった線しか引けないものだと、頭の固い私はいつも痛感しています。そうした私にとってこの作品は、異なる分野の専門家との出会いによって生まれた新たな視点で取り組めた、という充実感があります。


「洋蓮図」

◇関心のあること

一人勝ちのアメリカが世界中で身勝手に振舞い、お金中心の単純な文化が世界の多様な文化を一色に塗り潰していく流れを、いかに世界中の個人の力によって克服、あるいは敗北していくのか、に関心があります。



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