ハタからみると謎の部分が多く、そのうえ気になる仕事の一つである画商の仕事について、ギャラリーアートもりもとの佐々井智子さんに作家との出会いや付き合い方、企画展までのプロセスなど画商の仕事の一端をお聞きしました。
▼画商を始めてどのくらいですか。画廊に就職するとまずどんな仕事をするのですか。
もりもと画廊に入ったのが19歳の時ですから、もう15年になります。画廊に入って最初に先輩に言われたのは「人の顔を忘れるな」ということと「いいものを見ろ」ということでした。おかげで展覧会を見る機会はたくさん作ってもらったので、当時の経験が今でもずいぶん役に立っています。
▼当時十代の女性が画廊で修行するというのは、珍しかったのではないですか。受付とかアルバイト的な人はけっこういましたが。
私以外いなかったでしょうね。私も専門的知識があったわけではなかったのですが…。だけど画廊ってなにか不思議でしょう。そこに興味をひかれたのかもしれない。
▼画廊の仕事は一見華やかに見えますけど、実際に働いてみると大変でしょうね。
そうですね。まさか銀座の街を自分の体より大きな作品を運びながら歩くとは思ってもいませんでした。ただそのころからもりもと画廊も若い作家さんを扱うことが増えてきて、遠い存在だった絵描きさんが現実として少し理解できるようになって、単純に面白いなと思いました。
▼今は「アートもりもと」という新しい画廊を始めていますね。
もりもと画廊の社長が亡くなり、半分だけ名前を継ぐような形でアートもりもとを3人で作りました。
▼経営者の一員になったわけですが、何か変わったことはありますか。
画廊の仕事を考え直さざるを得なくなりました。いろいろな面で結果を出していかなくてはならないし…。