パーソナルなツールゆえに定番が不在のカードケース
カードケースが難しいのは、実はかなり幅が広い製品だからです。そもそも、カードという言葉が既に、名刺からクレジットカード、メンバーズカードに保険証やら免許証やら、さらにはカード型のグッズやノートまであります。そんなさまざまなカードをまとめるのに、カードケースに求める機能は人それぞれなので、使い方にあわせたたくさんの種類のカードケースが必要になるわけです。だからといって、いくつものケースを持ち歩くのは嫌だなあと思うと、理想のカードケースなんて見つかるわけもないのです。それでも、カードケースを作る側は色んなアイディアを振り絞り、さまざまな努力を重ねて、新しいカードケースを発表してくれます。今回は、そんなカードケースの中からガイド納富が気になったものを、実際に使ってみて厳選しました。結局、これが一番良い、というような判断は出来なかったので、それらのケースをまとめて紹介します。この中に気に入ったケースがあると嬉しいのですが、さて、どんなもんでしょう。
【目次】
- ABITAX「Card Case」:最後の一枚まで取り出しやすい
- NOOKA「AO」:カードケースの常識を覆す柔らかさ
- アッシュコンセプト「HIBY」:二つの素材を使うことが使いやすさに繋がる
- スーパークラシック「abrAsus 薄い名刺入れ」:限りなくシンプルに限りなく薄く
- OGON「CARD HOLDER S」:磁気カードやICカードは保護が必要
ABITAX「Card Case」:最後の一枚まで取り出しやすい
かつて、筆者がヘビースモーカーだった頃、ABITAXの携帯灰皿を愛用していましたが、このブランドは、本当に使う立場に立って商品をつくるのだなあと、今回のカードケースを見て、その印象を新たにしました。
このケースは、一言で言えば、「自分の名刺を入れて持ち歩くこと」に特化して作られたものです。薄くてコンパクトなハードケースには、名刺が15~20枚程度収納できます。ビビッドなカラーバリエーションが12色用意されていて、名刺入れとしてはとても華やかなのも個性的ですね。かなり派手な色もあるのに、大人が使える雰囲気に仕上がっているのは、そのスリムで曲線を使ったデザインの良さなのでしょう。
この曲線に沿って、ボディ上部を横にスライドすると開きます。この方向にスライドするカードケースも珍しいのですが、この方式のおかげで、開閉時にカードがこぼれにくく、また、取り出しやすいのが、このケースの一番の特徴です。単にスライドするのではなく、曲線に沿うように開くので、鞄の中などで開いてしまうこともありません。また、ABS樹脂を使ったハードケースですから、中の名刺も曲がることがありません。
曲線構造の上に、取り出し口がカードの端を持ち上げるリブ構造になっているので、名刺を最後の一枚までスムーズに取り出せます。カードケースは色々見てきましたが、ここまで「取り出しやすさ」にこだわった商品は初めてです。名刺の受け渡し時に、ケースから取り出す際にもたつくのは、本当によくあることなのですが、このカードケースなら、もう二度ともたつくことがありません。それでカッコ良くて、持ち歩きやすくて、価格も手頃。名刺専用にした潔さが良い結果に結びついたカードケースだと思います。
NOOKA「AO」:カードケースの常識を覆す柔らかさ
ABITAXの「Card Case」が名刺専用ケースだとすると、このNOOKAの「AO」は、クレジットカードなどのプラスチックカードの専用ケースと言えます。何せ、固いカードを入れることを前提に、ケース自体はフニャフニャと柔らかいシリコン製なのです。だから、何も入れていない状態では、カードケースかどうかさえ定かではありません。
内部は三つに仕切られていて、クレジットカード程度の厚みのカードを全部で約12枚収納できます。仕切りの厚さが違うので、あまり取り出さないで使う、SuicaなどのICカードは、最も薄い仕切りの中に、頻繁に出し入れするクレジットカードなどは、一番手前の仕切りに、といった風に分類して収納することが可能です。
そして何より、このケースは柔らかいので、入れたカードを探すとき、取り出すとき、仕切り部分を指で大きく開くことが出来るので、内部の見通しが良い上に、指を突っ込んで出し入れしたりもスムーズ。各仕切りには大きな切れ込みが入っているので、ケースの内部も大きく開くことが出来るわけです。これは実際に使うと分かるのですが、この出し入れのしやすさは他に類を見ません。
開閉時に、フリップに付いているストッパーを使う必要があるのが多少面倒ではあるのですが、それ以上に、柔らかい質感と触り心地の良さ、滑らず手になじむシリコンの素材感、洗剤で洗える安心感など、メリットがとても多く、カラーバリエーションも、オレンジ、黒、グレー、グリーン、ブルーと五色から選べるなど、使い続けたい要素がとても多いのです。
アッシュコンセプト「HIBY」:二つの素材を使うことが使いやすさに繋がる
今回使ってみたカードケースの中で、最も汎用性が高く、しかも持っていて心地よく、扱いやすかったのは、一番価格が安い、このアッシュコンセプトの「HIBY」でした。スマートなデザインながら、名刺なら40枚、クレジットカード類でも8枚程度入る大容量のカードケース。クレジットカードやキャッシュカードと名刺を同時に入れて、これだけで持ち運ぶのに丁度良いサイズ。しかも、ケースの開閉がスムーズで、カード類の出し入れも、ボディが柔らかいから、スパッと一発で探して取り出せました。
収納部分は柔らかなシリコンを使い取り出しやすさを実現、フタ部分をポリプロピレンで作ることで、ケース自体をシャッキリとさせると同時に、フタの開閉が片手でも行える機動力も兼ね備えるという、シンプルだけど効果は大きなもの。シリコン部分は手にフィットして滑りにくく、しっかりとホールディング出来ます。ポリプロピレンのフタ部分は、縦にカチッと大きく開くので、カードの出し入れの邪魔になりません。
ケースの左右を指で押すことで大きく広がるので、カードはとても取り出しやすく、縦で出し入れするためにこぼれ落ちたりもしません。本体の色とフタの色でバリエーションがつけられるデザインも秀逸です。シリコン部分が少し透明になっていて、外から中のカードが少し見えるのも、フタを開けずに内容を確認できて便利でした。
もちろん、これだけスリムなので、持ち歩きたいカード類を全て入れることは出来ません。厳選したものを入れることになるのですが、ガイド納富が普段持ち歩く、キャッシュカード×1、クレジットカード×2、Suica×1、その他のカード×2、名刺数枚、といった構成なら容量は十分でした。デザインも、持ち歩きたいという気にさせるものですし、ポケットにも鞄にも似合うので、カード入れとしての扱いやすさはかなりのものだと思いました。
スーパークラシック「abrAsus 薄い名刺入れ」:限りなくシンプルに限りなく薄く
通常、一日に使う名刺はそれほど多くはありません。10~15枚程度あれば大丈夫という感じではないでしょうか(もちろん、パーティーや見本市、大きな会議や出張時などは別として)。逆に言えば、15枚程度の名刺を、ポケットに入れて常に持ち歩けるようなスリムでコンパクトなケースがあれば、かなり使いやすいということでもあります。
スーパークラシックのabrAsus 薄い名刺入れ」は、正に、そんな用途のために作られた、その名の通りの「薄い名刺入れ」です。タンニン鞣しのヌメ革で作られていて、薄いといっても十分な存在感があって、触り心地もよく、経年変化も楽しめます。毎日持ち歩くグッズとして申し分のない出来だと思いました。
面白いのは、その名刺の取り出し方。やや裾が広がった台形になっているデザインと表に少しだけある折り目は、デザインとしても面白いのですが、これが名刺をポップアップさせる仕掛けにもなっています。名刺入れの側面の小口部分を押さえると、そこ部分が折り上がって、名刺を押し出してくれます。あまり名刺を入れすぎていたり、逆に名刺が少なすぎると、この機能はうまく働かないのですが、面白さと便利さが合わさった、良い仕掛けだと思います。
何よりガイド納富が、この仕組みを気に入っているのは、別に、この仕組みがなくても名刺入れとして十分使えるように作った上で、この楽しい仕掛けを施しているからです。アイディアに頼った一点突破的なグッズも面白いのですが、名刺入れのようなベーシックなアイテムの場合、トータルで完成度を高めた上に、アイディアも組み入れていくという作り方が似合うと思うのです。
OGON「CARD HOLDER S」:磁気カードやICカードは保護が必要
実際、それほど神経質になることもないとは思うのですが、それでも、磁気カードやICカードは、磁気や電気に弱いものです。それこそ、うっかり磁石と一緒に持ち歩いたら、破損の危険もあります。鞄の留め具が強力な磁石になっていることなんて、結構よくあることですし、大事なカードであればあるほど、警戒は必要です。
OGONの「CARD HOLDER」は、防磁式のアルミ製カードケース。ハードケースなので内部の保護はバッチリだし、磁気や電気からも保護してくれます。その分、Suicaなどを入れた場合ケースから出さないと使用 できないのですが。それでも、キャッシュカードやクレジットカードの収納用と考えると、とても頼もしいものです。
アルミ製のアタッシュケースを思わせるデザインはベーシックですが、それも信頼性の演出。ワンプッシュで開くし、内部はマチがついていて、カードを探したり出し入れしたりがとてもスムーズです。カードは通常のクレジットカード程度の厚さのものなら約12枚収納可能。カラーバリエーションも豊富で、ちょっと固いイメージのケースですが、色を選べば、老若男女問わず使えます。それ以前に、何でしょうね、アルミケースって、それだけで妙に心惹かれるものがありますよね。
ガイド納富の「こだわりチェック」
カードケースに決定版がなかなか現れないのは、カード自体の種類が多いだけではなく、カードが必要なシチュエーションの種類も多くて、その両方を満たすとなると、とんでもないほど広範囲をカバーする必要があるからなのでしょう。だから、多分、いくつかのカードケースを使い分けるのが正しい方法なのでしょうが、カードを入れ替えるのも面倒な話です。とりあえずは、名刺入れとクレジットカードやキャッシュカード入れ、それにICカード入れの三種類を持っておけば良いのかなと思っています。今回紹介したカードケースも、ABITAXの「Card Case」、スーパークラシックの「abrAsus 薄い名刺入れ」が名刺専用、NOOKAの「AO」とOGONの「CARD HOLDER」がクレジットカード等用、アッシュコンセプトの「HIBY」が両用、と、その性格がハッキリ分かれます。そういうものだと思うのです。今回は紹介しませんでしたが、これらとはまた別のジャンルの名刺入れとして、100枚入る系の大容量のものもあり、メンバーズカードを管理するカードケースもあります。また、以前、このガイド記事で紹介したカードケースも色々あります。
今後も、良いと思えるカードケースを見つけたら、その都度紹介したいと思います。その中に、「こういうのを探してたんだ」というものがあれば良いなと、思っています。まあ、カードケースは小さいので、いくつあっても、それほど困らないものです。良さそうと思ったら、とりあえず買って使ってみるというのが、多分、一番良いカードケースとの出会い方かもしれないなと、沢山のカードケースを手に、筆者は言い訳のように考えたりもしています。
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