グッズの愉しみの基本はコール&レスポンス
明和電機「オタマトーン」2,940円(税込) 色は写真の黒の他、白もある |
モノを触る楽しさは、多分、コール&レスポンス的な快感だと思うのです。例えば、革製品を触るというアクションに対して、心地よい手触りと経年変化というリアクションが嬉しいし、万年筆は書くというアクションに対して、書き心地と書かれた文字というリアクション次第で、その良さを感じます。モノ選びが、単に機能だけでは終わらないのは、そういうことだと思うのです。
そう考えると、楽器や音が出るグッズは、そんなコール&レスポンス的な快感の最たるものと言えるでしょう。こちらのアクションに対してリアルタイムで応えてくれるのですから、その気持ち良さは格別です。子供のオモチャに、ボタンを押すと音が出る仕掛けが標準装備されているのは、それが、根源的な気持ち良さだからなのでしょう。
と、もっともらしい理屈を捏ねてまで、この明和電機の「オタマトーン」をお勧めするのは、単にガイド納富が楽器や音が出るグッズが大好きだからなのですが、それ以上に、この手のオモチャ楽器の良く出来たモノについては、それが、文房具やデジタル機器などの、手で使うグッズのインターフェイスやデザインのヒントになるような要素が沢山備わっていると思うからでもあります。
直観的に弾けて、しかもアナログ的なコントローラー
棒の部分を指で押さえると音が出る |
もう色んな意味で素晴らしい「オタマトーン」ですが、まず、何より凄いのは、その音符を模したデザインが、楽器としてのインターフェイスとぴったり合っているということです。基本的なコントロールは、音符の棒の部分にあるリボンコントローラー的なセンサーのみ。電源を入れて、ここを指で押さえれば音が出ます。押さえる位置を変えれば、音程も変わります。上を押さえるほど音は低く、下(おたまじゃくしの顔側)を押さえるほど、高い音が出ます。
基本はこれだけなので、大体、勘で弾けてしまいます。合奏となると音を合わせるのが難しいですが(元々、音程が安定していないので、基本はソロ楽器だと思います)、伴奏に合わせてソロをとったり、単に一人で奏でる分には、すぐに楽しく演奏できるのです。このシンプルなインターフェイスと、音符から音が出るという分かりやすさの融合は、グッズやツールのお手本となるような出来だと思います。
顔部分のサイドを押さえると口が開く。この開閉動作でビブラートをかけることができる |
さらに、おたまじゃくしの顔の側面を押さえることで、おたまじゃくしが口を開きます。しかも、口を開閉させることで、音質がリアルタイムで変化します。つまりギターなどで言う「ワウワウ」の効果が得られるわけです。細かく開閉させればビブラート風に、ゆっくり大きく開閉させればワウワウ風にと、そのアナログな操作感と、それに応えるような音の変化が、演奏をさらに心地よいものにしてくれます。
オクターブも変更できる意外な本格志向ぶりも楽しい
背面に二つのスイッチ。上が電源と音量、下がオクターブ切替。 |
電源や音量などの操作は、おたまじゃくしの顔の後ろ側に用意された二つのスイッチで行います。上が電源オフ→音量小→音量大と切り替えるスイッチ、下が、オクターブを、低→中→高と切り替えるスイッチ。これだけですが、これで十分というか、必要最小限以上というか、3オクターブにわたって演奏できるわけで、それだけあれば、かなり自由に演奏が楽しめます。「あ、この上は出ない」というのは、オモチャ楽器にありがちの悲しみですが、オタマトーンでは、そんな悲しみを味わう機会が少なくて済みます。
簡単な音程早見表と練習用の楽譜が付属 |
何処を押さえたら、どの音がでるかの、大体の所を書いたプリントも付いていますから、真面目に練習して弾きたい人でもOK。ある程度、押さえる場所を決めてしまえば、合奏も可能になります。色も白と黒の二色あるので、ツイン・オタマトーンでデュエットというのもカッコ良さそうです。
実際、弾き始めたら、その電子音が気持ち良くて、スライド奏法も出来るし、ビブラートもかかるから、演奏に感情を込めやすくて、でも、そこから出るちょっと間抜けな音は、感情を込めると言っても、どこか乾いた感じになって、それがまた面白くて演奏に没頭して、という感じで、いつまでも弾き続けてしまいます。こちらの「弾く」というアクションに対するオタマトーンの、ちょっと外した緩いリアクションが、真面目になり過ぎず、でも真面目な演奏も出来てしまう、ちょうどいい感じで楽しめるのです。
ガイド納富の「こだわりチェック」
ガイド納富は、元々、こんな緩い楽器と言うか、演奏できるオモチャが大好きで、できる限り集めていたりもします。例えば、上の写真は、数年前にマクドナルドがハッピーセットのおまけで配っていた、オモチャの楽器のシリーズです。スティックを振るとドラムを叩いた音がする、なんて仕掛けは、十分パーカッションとしても使えて、今でも愛用してます。
こちらは、数年前の小学館の学習雑誌の付録でついていた、「フィンガーオルガン」です。装着すればどこででも演奏できるようになる、そのサイバーなムードと、付録らしいチープさが上手く折り合ってるデザインが凄いです。エアオルガンとでも名付けたいと言うか、このスタイルのキーボードとか本気で欲しいです。
電子楽器ではなくても、音が出るモノは魅力で、これは京都の民俗楽器専門店コイズミで購入した笛です。先端の短い部分を持って、パイプに入れたり出したりすることで音程が変わる仕組み。これがまた、音の変化が面白くて、吹き始めたら止められません。手作りだし、価格が安いのも魅力です。
iPhone用の楽器アプリも色々と遊んでいますが、こちらは、別の企画を考えていますので、そちらでじっくりと紹介します。ともあれ、そんな電子楽器玩具の中でも、オタマトーンは、相当優れたオモチャであり、楽器であり、グッズであると思うのです。
<関連リンク>
・明和電機「オタマトーン」の購入はアシストオンで。
(購入先のリンクは後日、準備ができ次第用意します)
・明和電機の公式サイト
・オタマトーン公式サイト
・オタマトーンの実演例
・京都の民俗楽器専門店コイズミの公式サイト