男のこだわりグッズ/文房具・小道具

個人的な、とても個人的なシュレッダー二種

企業向けのシュレッダーとは180度違った方向から作られた、個人のためのシュレッダーの名品を二種紹介。どちらも音もせず、机の上で邪魔にならないサイズとデザインで、個人情報保護の機能は十分な名品です。

納富 廉邦

執筆者:納富 廉邦

男のこだわりグッズガイド


重要な部分だけを見えなくすればOKというアイディア

インフ・デザイン・オフィス
「name-off(ネームオフ)」1,470円(税込)

もはや、郵便物を気軽にゴミ箱に捨てられる時代ではありません。家庭でシュレッダーを買おうと考えるのも当たり前のことのようです。とはいえ、シュレッダーは音もデカイし、置き場にも困るしで、まだまだ家庭に置く道具としては、こなれていない印象を受けます。多少、デザインが良いものも出てきましたが、その構造上、結局キレイなごみ箱、といったもの以上の物は出てきません。手動式に至っては、頼むから誰かデザインしてくれ、というようなものが主流です。

しかも、個人での情報流出といえば、郵便物に書かれた住所や、キャッシュカードやクレジットカードの明細くらいで、紙そのものを細切れにする必要はなかったりします。そこに目をつけた上に、それを製品化するに当たって、見事にデザインされた道具に仕立ててあるのが、インフ・デザイン・オフィスの「name-off」です。一見、大きめのステープラーのような、スリムなパンチのような道具ですが、そのステープラーとパンチの機能を合体させることで、全く別の、パーソナルシュレッダーとも言える製品に仕上げてあるのです。

狙った位置にスムーズにパンチできる「name-off」

こんな感じで見られたくない部分だけ素早く穴を開ける

「name-off」は、簡単に言えば、郵便物の住所などの人に見られたくない部分だけを、パンチの要領で穴をあけて、見えなくしてしまうという道具です。郵便物の住所くらいならパチンと一回押すだけで何が書いてあるか分からなくなるくらいには、穴を空けてくれます。穴を空けた部分の紙は、本体内部に収納されて、後でまとめて捨てることが出来るので、もしゴミを全て拾われたとしても、ほとんど復元は出来ないと思われます。この、時間差で捨てられるというのは、このツールの大きなメリットの一つだと思います。

本体上部には、どのあたりに穴が空くかのガイドになるように、丸い凹みが並んでいます。これがデザイン上のアクセントにもなっているのですが、この凹みのおかげで、郵便物の穴を空けたい部分にかなり正確にパンチすることが出来ます。こういう作業に対してとても不器用なガイド納富がほとんど失敗しないので、自分で驚いてしまったほどです。

こういう実用的な製品でありながら、スマートなデザインで、しかもカラーバリエーションがあるというのも、name-offの魅力です。机に置いていても邪魔にならないデザインと色は、文房具の機能の内だと思うのです。その点、name-offの洗練されたデザインと、渋めのセンスのよいカラーバリエーションは、机上の道具として「置いておきたい」と思わせるだけの、とても考えられたデザインなのです。

重要な情報をジョキジョキとシュレッドするハサミ

サンスター文具
「シュレッダーはさみ」1,680円(税込)

パーソナルなシュレッダーとして、name-offと共に持っていたいのが、サンスター文具の「シュレッダーはさみ」です。name-offが、狙った数センチの情報を一回の操作で消してしまうツールなのに対し、このシュレッダーはさみは、ジョキジョキと情報を粉砕しながら切り進むツール。つまりハガキならname-off、封書ならシュレッダーはさみ、といった感じの使い分けが行えます。

しかも、このはさみは、かなりしっかりした作りになっていて、クレジットカードなどの薄手のプラスチックやボール紙なども、ジョキジョキと切りつつ、細かいチップ状に裁断してくれます。途中で曲がっている不思議な形状も、切り進むにあたって、途中で引っかかって止まらないようにするための工夫です。何となく、かなり力がいるようなイメージがあるのですが、そこは、本来テコの原理を応用した「ハサミ」の形状を借りているだけあって、思いの外スムーズに切り進めます。「ジョワクゥイッ」と紙が裁断されていく感触が、また独特な感じで気持ち良いのも、シュレッダーはさみの特徴でしょう。

通常のハサミの10倍の手間で作られた職人仕事の名品

こんな感じで、紙は小さなチップ状に裁断される
中央部のツメでCD-Rなどの破壊も可能だ

この「シュレッダーはさみ」は、2.2mm幅で紙を粉々に裁断しながら切り進むツールです。シュレッダーには、単に細く短冊状に裁断するストレートタイプと、小さな長方形に裁断するクロスカットタイプがありますが、このシュレッダーはさみは、小さいながら、クロスカットを実現しているわけです。消したい情報のある部分に、ジョキジョキとハサミを入れていくだけなので、確実に消したい情報を消していくことが出来る、その操作性と、情報の裁断が目に見える確実性は、他のシュレッダーにはない魅力です。

刃先を見ると分かるように、二枚の通常のハサミの刃の間に、いくつもの縦の刃が並んでいます。この一つ一つを作っていくのには、通常のハサミ作りの10倍以上の手間がかかるのだそうです。また、刃を締める部分は、スムーズに刃が動く力加減が難しく、職人さんの手仕事になります。一度に切れる幅が22mmなのも、力の具合や刃の強度などを考えた時の、ギリギリの幅なのだといいます。一見、ちょっとしたアイディア商品のように見えるシュレッダーはさみですが、そこには、プロの職人技が詰まっているのです。


ガイド納富の「こだわりチェック」

「name-off」はデザイナーの渡辺実佳さんが、「シュレッダーはさみ」はサンスター文具の社員であり文具王の高畑正幸さんが、それぞれ企画を立ち上げて製作したものです。どちらも、身の回りの不便を解決する道具を作る、というところから出発した企画なのだそうです。新しい文具というのは、そんな個人の思いから生まれるのでしょう。name-offの優しい色使いや、シュレッダーはさみのグリップが安易なデザインでないことなど、ちょっとした部分にも、新しい道具を生み出そうという心意気が見えるような気がします。

企業向けの事務機だったシュレッダーを、誰もが使える道具にしようというアイディアから考えられる製品は色々あると思います。でも、出てきた製品は、どちらもとても個人的な、パーソナルな使い方を想定した物でした。創ろうとしたのは、機能としてのシュレッダーではあっても、シュレッダーそのものではないものだったのでしょう。だからこそ、どちらの製品もオリジナリティに溢れ、機能はもちろん、[そういう製品だからこそ持っていたい]→[そういえば、シュレッダー的な物も欲しかったし]というベクトルがあります。それが、この二つの小さなシュレッダーの最大の魅力でしょう。

どちらも大きな音がしないから深夜にも使えるのが良いですね。それに何より、置き場所をとらないのがガイド納富にはとてもありがたいのです。


<関連リンク>

・name-off(ネイビー)の購入はスタイルストアでどうぞ
・name-off(レッド)の購入はスタイルストアでどうぞ

name-offを企画・製造・販売しているインフ・デザイン・オフィス
name-offのデザイナー渡辺実佳さんのインタビューも掲載されたアシストオンのname-off紹介ページ

シュレッダーはさみの購入はこちらで

サンスター文具のシュレッダーはさみの紹介
サンスター文具のホームページ
文具王高畑正幸氏のホームページ


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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