日本の文具は世界に誇れるハイレベル
ロコモーション・パブリッシング |
例えば、マックスのホッチキス。ステープラーという名称を抑えて、日本では「ホッチキス」と呼ぶのが当たり前になっているほど、ステープラーと言えばマックスというのが日本の常識です。そして、その常識に恥じない、究極のホッチキスを作ってしまったのです。握る力を30%軽減し、女性の手でも26枚を片手で綴じる事が出来る上に、綴じた針の背がフラットになるという、正に究極のステープラーで、しかも定価1260円。
例えば、オルファのカッターナイフ。「折る刃式カッター」を発明した岡田好男氏が創業した、カッターの代名詞は、実はダジャレで社名が決まっているあたり、実に大阪的です。そのオルファの実力を世界に知らしめたのは「ロータリーカッター」。布やフェルトを軽快に切る道具として、パッチワークやキルティングが生活に根付いている北米で大ヒットになりました。
そんな、日本の文房具の名作を、メーカーへの取材と共に紹介した本があります。それが、「頑張る日本の文房具」(ロコモーションパブリッシング、1680円)です。普段、何気なく使っている文具の数々について、その開発秘話や、何故使いやすいのかの秘密、今後の展開まで、じっくりと取材されているので、文具が好きな人なら全てのページを楽しく読むことが出来ると思います。
綿密な取材と豊富な写真の二本立てで見せる文具の魅力
ガイド納富による日本の万年筆メーカー
各社の定番製品についての記事。工場見学ルポもある |
取材・執筆には、信頼文具輔で自ら文具を販売し、文具についての著書も多い和田哲哉氏や、原宿の雑貨店アシストオンのアドバイザーも務める大谷和利氏など、文具への並々ならぬ情熱を持った方々が参加。ガイド納富も「日本メーカーが作る日本人のための万年筆」「『細く・キレイに・鮮やかに』のニーズに応える国民的筆記具 パイロットのハイテックCシリーズ」「文房具メーカーで文房具を作るということ 文具王高畑正幸氏インタビュー」の三本の記事を取材・執筆しています。
他にも、「世界トップの品質を誇る『ニッポンのエンピツ』」と題された、三菱鉛筆のユニについての記事や、「高度な金属加工技術が円滑で確実な事務作業を約束」と題されたカール事務機器のパンチの記事、「オフィスの機能向上に貢献するファイリング一筋の情熱」と題されたリヒトラブのファイルについての記事など、読むと思わず普段使っている文房具を見直してしまう記事が満載です。
ハイテックCの開発秘話も掲載
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しかも、そんなドキュメント的な記事だけでなく、各メーカーの現行のラインアップや隠れた名品、過去の傑作などの写真も豊富に掲載。そのラインアップの豊富さや、知らなかった使いこなしまで、ビジュアル的にも充実した内容になっています。
ガイド納富の「こだわりチェック」
本を読んでいるのはサンスター文具の名作、
文具ロボットの「二代目文久郎」 |
文具は、それがよく出来ていればいるほど、あまりにも手に馴染み、使う事が自然になりすぎて、その凄さが見えにくくなってしまいます。そして、時々ダメな文具に当たると、そのダメっぷりばかりが記憶に残り、「日本の文具はこれだから」と思いがちです。それくらい標準のレベルが高いのが日本の文房具なのです。
だから、ほんの少し、普段自分が使っている道具を意識して見てみましょう。すると、些細な部分にも、とんでもなく大量のアイディアと技術が詰まっていることが分かるはずです。それが分かってくると、例えば普段使いの100円ボールペンにも、良い物、自分に合う物、ちょっと凄い物があることに気がつきます。文具王こと高畑正幸氏は、「自分が乗ってる車の名前を知らない人はいないけど、自分が使ってるボールペンの名前を知ってる人は少ない」と言います。そのくらい、文房具を意識して使っている人は少ないのでしょう。
この「頑張る日本の文房具」という本は、そんな普段意識して文具を使っていない人にこそ読んでもらいたい本です。そして、日本の文房具の底力に驚いて欲しいのです。一度驚いてしまえば、次に文房具店に行った時、確実に「物を見る目」がレベルアップしていることに気がつくはずです。そして、今まで使っていて不満だった部分を解決できる道具を自分で選べるようになっているはずです。この本は、そんな「文房具の教科書」としても使えて、単に楽しい読み物としても読める、そんな本なのです。
<関連リンク>
・マックスの究極のホッチキス「HD-10DFL」
・オルファカッターのサイトはこちら
・文具王高畑氏が勤めるサンスター文具はこちら
・パイロット「ハイテックC」のページ
・二代目文九郎の情報はこちら
・文具王高畑正幸氏のホームページ「タワーステーショナリー」はこちら
・著者の一人、和田哲哉氏のお店、信頼文具輔はこちら
・著者の一人、大谷和利氏がアドバイザーを務めるアシストオンはこちら
・著者の一人でもあるガイド納富の最新刊「オークション・ネットショップに効く!商品撮影術」の購入はこちらから