普段使いのブックカバーの理想を考える
ガイド納富謹製「新書版布製ブックカバー」
参考価格:約3500円前後 |
高級皮革を使った究極のブックカバーは、確かに使っていて気持ち良いものです。しかし、本は何冊も平行して読むものですし、判型も新書だけとは限りません。本を持ち歩くためのブックカバーは、いくつもの判型が必要で、欲しい時にすぐに手に入らないと使いにくいものでもあります。
そんなブックカバーに数万円を出すというのは、やはり普通ではないですし、一つ持っていれば、それなりに満足するものでもあります。ということで、究極のブックカバーと平行して、布製の、よりカジュアルな、でもブックカバーとしての機能は最高のものを作れないものかと、延々と考えていました。
まず、鞄に収納する際に本を包む形になることの便利さは、究極のブックカバーで分かっていましたから、その機能は外せません。しかし、表紙側にベルトを設けて、折り返し部分を通すというスタイルは、革だと格好良いのですが、布だと素早く装着したり外したりが出来なかったりして、使い勝手としては最高とは言えないのです。
また、折り返しを背表紙側のベルトに通して厚さを調整するという方法は、多くのブックカバーが採用している一般的な方法ではあるのですが、薄い本から厚い本までカバーするには無理があることも分かってきました。いっそ、厚い本用、薄い本用に分ける事も考えましたが、それでは面白く有りません。
モールスキンにヒントを得たスタイル
スクエア感を活かしたシンプルな構造
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そんなこんなを考えていて、まず思いついたのが、モールスキンの手帳のような、ゴムで表紙を留める方法。しかし、表紙に直接ゴムをつけているモールスキンのスタイルはブックカバーでは真似が出来ません。そこで、エルメスのブックカバーのように、折り返し部分を切らないで真っすぐにして、そこにゴムを付けてみました。すると、これが、とても調子よかったのです。本をクルリと包んで、ゴムでパチンと留めるだけで、鞄に放り込んでも本が傷みません。読む時はゴムを外して、背表紙側を折り畳むだけです。
そうして作った、ガイド納富式ブックカバーの構造は上の写真の通りです。こうして見るとシンプルですが、これが実際に使うととても使いやすいものになったのです。ポイントは、まず、折り返し部分が真っすぐになっていること。裏表紙は、鞄の中では本を包む部分になり、読む時は単に紙のブックカバーのように、裏表紙に折り返すだけです。この構造のおかげで、京極夏彦氏の本から、薄い俳句集のような本まで幅広くカバーする事が出来るようになりました。
紙のブックカバーのようなカジュアルな使い勝手
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デザイン的にも、折り返し部分が真っすぐなのは、とても格好が良いのです。それは、本を包んだ時も読書の時も同様で、ブックカバー独特の野暮ったさを感じません。やはり、デザインはシンプルなのが一番ということなのでしょう。