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不遜なまでにゴージャス&エレガント DRESS CAMPの鮮烈なプレゼンス

4月8日、ドレスキャンプの2005-2006秋冬コレクションが開催された。脳の刺激中枢をレッドゾーンにまで振り切ってしまうような、驚くべきショーの内容。そして圧倒的なフィナーレ。

執筆者:森田 剛


レッドゾーンを振り切る、DRESS CAMPの鮮烈なプレゼンス...

“井上文太の極楽”Tシャツ、ペイズリー柄のシャツとショートパンツ、DUVETICA製のレオパード柄のダウンベスト、 角のついた黒真珠ネックレス

4月8日、DRESS CAMPの2005-2006秋冬コレクションがラフォーレミュージアム六本木で開催された。

DRESS CAMP(ドレスキャンプ)は、2004年毎日ファッション大賞、新人賞を受賞した岩谷俊和がデザインするブランド。
その特徴は、不遜なまでにゴージャスかつエレガント。しかしそこにストリート感覚が無理なく同居する、稀有なブランドと言えるだろう。
かのカール・ラガーフェルドが、“日本にこのようなブランドがあったとは!”と驚嘆の念を表明したことでも知られている。

さて、そのようなブランド説明が、かったるく感じられるほど、この夜のショーは、結論から先に言えば、驚くべきものだった。
まるで突発的な事件のように、“こんなことが起こるとは...信じられない”という思いは、数日経った今でも消えていない。


小花のブーケ柄のシルクシフォンキャミソール、馬具柄のDUVETICA製のダウンベスト、花びらのついたデニムとフォックスのバッグ

エクトル・ザズーの Reivax Et Son Cheval Pepito の中近東的なメロディ、静(聖)的な曲調で始まるオープニングは、2曲目のFuck The Millenium(The Justified Ancients Of Mu Mu)の爆音で一気に逆方向に振れる。

それは、動的というよりもさらに、脳の刺激中枢を危険な領域にまで振り切ってしまうような振幅を感じさせるものだ。
たとえば、ギラギラと輝く金の装飾、 あるいは1980年代的コンサバな馬具柄などは、バブル後の世界では、真っ先に外してしまいそうなアイテムだったわけだが、ここでは、マイナスをプラスに転倒させるような力(ベクトル)がある。


フォックスの付いたチャンピオンジャージのカーディガンとフォックスのついたミニスカート

この大胆さの裏には、当然ながら緻密な計算がある。

ゴージャス感はあっても、それはたとえば一時のヴェルサーチ的な、日本の金満家が好んで身に着けるようなゴージャス感ではなく、もっとアクティブで、アナーキーなものだ。
現にこのブランドは、日本のゴ-ジャス系タレントのように、肉体のセクシーな凹凸感や露出感を売り物にはしない。

そうではなく、何でもアリの今のファッションから、極端に“ぶっとんだ感”のある、驚くべきものを想定する場合、このゴージャスでありながら繊細なバランスは、真に衝撃的なファッションとして希求されたものであるのかもしれない。

早い話、胸の谷間を強調し、露出するようなセクシー感やゴージャス感なら簡単だろう。
そうではなく、ゴージャスでありながら、アナーキーな印象を受けるという、他に例のないショーとなっている。


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