けれども最近、自分が体験できなかった’60年代のファッションへの関心が高まってきて、サンローランへの認識が変わった。
音楽だったら、CDというメディアを介して、他の時代ではなくビートルズ、ストーンズなど、主に’60年代の音楽を聴いて育った、と言えるのだけれど、ファッションにはやはり、その時代に生まれ、消えていく特有の空気感、といった同時体験的要素が強い。
その、体験できなかったものへの憧れ、なのかもしれないが、’60年代のファッションには、ポップ・アートからの影響を感じさせる色使いや、当時は未来(宇宙)的ニュアンスで提案されていたものに今見ると独特のレトロ・ヴィンテージなテイストが感じられたり、と、多くの惹かれる部分がある。
そしてこの時代の女優やシンガーたちは、特別にキュートな雰囲気があって、永遠に色褪せない魅力を放っている。
’60年代のモンドリアン・ルックは、赤、青、黄の3原色のバランスが微妙に変わりながら、今まで何度もいろいろな方面でリプロダクトされてきた。
昨年もジュンヤ・ワタナベでモンドリアン調のニットが出ていたり、中田英選手がCFで着用していたりした。
そこで、白が人気のシーズンに、こんな雰囲気のニットをサンプリングし、提案している。予約段階ではとても好評で、2月下旬に発売予定。
EX) ONE PLUS
ONE
最後の2002年春夏コレクション、イブ・サンローラン・オートクチュールのメッセージは(LOVE)。1月22日、ポンピドゥーセンターで行なわれるラストのコレクションにぜひ注目したい。
PS.
この1月22日のショーは、後日、ネット上で見る事ができた。
あまりにも素晴らしい。サンローランの歴史的な衣服のすべてがここに集まった、膨大な数のコレクションとなっている。会場にはサンローランとともに「黄金の’70年代」と呼ばれた、高田賢三、ソニア・リキエルの他にJ・P・ゴルチェ、山本耀司らデザイナーの姿が見られ、往年の大女優ジャンヌ・モロー、ローレン・バコールもランウェイに視線を注いだ。
とりわけ感動的だったのは、たとえ’60年代の服でも、今でも最高に魅力的に感じられる点だ。
最後にはカトリーヌ・ドヌーブがサンローランに歌を捧げ、多くの観客が涙ぐんでいたという。
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