流行を見極める目、火付け役
映画「ファッションが教えてくれること」 (C)2009 A&E Television Networks & Actual Reality Pictures,Inc.All rights Reserved |
「VOGUE」は世界で最も影響力のあるファッション誌。米版はアメリカ女性の約10人に1人、1300万人に読まれているそうです。だから、どんな有名デザイナーもウインター編集長のご機嫌を損ねるわけにはいきません。彼女のお眼鏡に適わなければ、本当のデザイナーとしての成功を手に入れることができないほどの影響力を、彼女は持っているのです。
映画「ファッションが教えてくれること」 (C)2009 A&E Television Networks & Actual Reality Pictures,Inc.All rights Reserved |
映画では編集作業で主な決定のすべてをウインターさんがたった1人で下していく様子が紹介されています。優秀な編集スタッフが苦労してまとめた記事や写真素材を、ウインターさんはばさばさと切り捨てていきます。その冷酷なまでの判断の速さは見ていて、「本当に中身を見ているの?」と驚くほど。どの雑誌も編集長というのは、自分に自信を持って、独断で方向性を決めていくものですが、ウインターさんの決断の早さと確かさは際立っています。
映画「ファッションが教えてくれること」 (C)2009 A&E Television Networks & Actual Reality Pictures,Inc.All rights Reserved |
アナ・ウィンターさんが見せる、トレンドの見極め、アイテムの目利きも圧倒的。一瞬で的確な評価を下していく様は、呆れるほど見事です。ファッションショーの最前列に招かれるのは、大変な特権ですが、別格扱いのウィンターさんはショーの前にデザイナーに招かれ、事前ショーで直接、デザイナーから説明を受けるのです。「イヴ・サンローラン」のクリエイティブディレクターを務めるステファノ・ピラーティさんがウィンターさんからだめ出しされる様子もこの映画に描かれています。
◆「ハイファッション×チープファッション」の融合
テイストミックスという手法は今や当たり前のようになっていますが、いち早く目を付け取り入れたのが彼女。1988年に1万ドル(約100万円)もする「クリスチャン・ラクロワ」のTシャツに、50ドル(約5000円)のデニムをコーディネートして表紙を飾り、「ハイ&ロー」のミックススタイルを提案したのです。
◆セレブブームを作った
99年にスーパーモデル時代の終わりを見越して、専門モデルではないセレブリティーを起用し、セレブブームを呼び込んだのも彼女。セレブの着たアイテムがヒットするようになった陰にも、ウィンターさんの目利きがあったわけです。彼女が企画する以前、専門モデルではないセレブが雑誌の表紙や写真ページを飾るなんて、考えられないことだったのです。
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