雑貨/アジア・和雑貨

竹籠作りワークショップを体験

日本では古来より親しまれている素材であろう竹。農具や台所用品など、竹の道具は日々の暮らしに欠かせないものでした。今では竹籠を編む職人さんもずいぶん減ってしまったそうですが、竹の持つしなやかで気品のある美しさには、やっぱり強く心惹かれます。今回は、竹籠の職人さんを先生に迎え、籠作りを体験してきました。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

竹籠作りに必要な道具いろいろ

竹籠作りに必要な道具いろいろ


さて、用意するものは、剪定ばさみと霧吹き。(水をかけるので、塗れてもいい服装で!)。そして霧吹きの横にある小さなヘラは、固めの竹で先生が手づくりしてくれました。竹の目を詰めたり、ひごを通すときなどに使います。壊れちゃったらまた削って利用できる、なかなか便利な道具。材料である竹ひご自体も本来は作らなければならないんですが、それを作っていると一日では終わらないので、今回は前もって作っていただきました(本当はこの下準備が大変です)。さらに安定した形を保つために、底の部分だけ編んできていただきました。これで籠バッグを作ります。

底から腰の部分を編みます。

底から腰の部分を編みます。


まずは底から腰の部分を立ち上げるため、1.5mmほどの細い竹ひごで編んでいきます。編み方の技法は様々で、現在100以上あるそうですが、今回の編み方はシンプルなござ目編み。縦のひごに対して、表裏交互に横ひごを差し込んで編んでいきます。2本の竹を交互にして同時に編みます。難しいのは角の部分。力を入れすぎると竹がぱきんと折れてしまうし、緩すぎるとガバっとした大きな籠になってしまいます。霧吹きでこまめに水を噴いて、竹を柔らかくしながら編み込んでいきます。3cmくらいの高さになるまで編みます(だいたい12段くらいでした)。

太いひごで、胴の部分を編みます。

太いひごで、胴の部分を編みます。


次は5mmくらいの太幅の竹ひごに替え、胴の部分を編んでいきます。こちらは硬いので、ぐっと力を入れて編みますが、力を入れすぎると今度はすぼまってしまうので、縦のひごがまっすぐに上を向くよう気にしながら、形を整えつつ編んでいきます。竹ひごは同様に交互に差し込んで編みます。単純な作業だし、頭では要領が分かっているのですが、慣れてくると手が速くなる分、うっかり間違えることが意外と多くなります。もし間違えたら、ほどいて最初からやり直し。慎重に、ときどき確認しながらテキパキと編んでいきます。

編み終わりを始末し、目を整えます。

編み終わりを始末し、目を整えます。


高さは各自自由なのですが、私は15cmくらい編みました。ここまでで結構時間が掛ります。朝10時から始めて2時過ぎくらいまで掛りました。満足いく大きさになったら、ひごのシッポは斜めに細く裂いて、きれいに隠れるよう編み込んで始末します。目の緩いところはヘラできゅっと押して締め、全体を整えます。ここまでできたら、一旦籠を水の中に浸けて一休み。竹を柔らかくします。

ワークショップの様子をお昼ご飯

ワークショップの様子とお昼ごはん。


この日は参加者が10名ほど。わいわいと楽しみながらやる予定でしたが、みんなほぼ初心者だったせいか、午前中は誰もあまりしゃべらず、黙々と作業に没頭していました。時折、編み間違えた人が発する、うぎゃー、といううめき声が部屋に響きます。

今回の会場は、世田谷区にある器と暮らしの道具のお店「夏椿」。先生は竹籠の本場、大分県別府で学び、竹籠歴10年以上という大江啓司さんです。日本やアジアの暮らしに馴染み、竹本来の持つしなやかな美しさが魅力だという大江さんは、ときどき各地でワークショップを行ったり、自身の作品を海外にも発表しています。
この日のお昼ごはんは、料理家・ワタナベマキさんの手づくりおにぎりセット!野菜の旨みがじんわりと香る、素朴なおいしさでした。

縁をきれいにします。

縁をきれいにします。


さて、一休みしたらまた作業です。水に浸けて柔らかくなった縦ひごの内側部分の1本を、くにゃっと斜めに折り曲げ、折れ目部分をぐっと手前に押すと、皮がすうっと半分に薄く裂けます。裂けてペナペナになったひごの皮を、本体部分にくるりと巻き込みます。これらを交互に巻き込み、外側に出ている方の縦ひごは、ぱちんぱちんと長さを揃えて切り取ります。だんだんと籠らしくなってきました。

枠をはめて仕上げます。

枠をはめて仕上げます。


枠をはめて縁を仕上げます。幅1cm、厚さ1mmくらいの竹で、縁の外と内を挟んでぐるりと囲みます。間に細い竹を2本ほど入れて挟むのがポイント。きっちりと固定されて締まり、縁が安定します。囲んだらクリップなどで固定し、薄く裂いた紐状の藤をくるくると斜めに巻いていきます。交互に穴に通して巻き、2周します。

取っ手を付けます。

取っ手を付けます。


ゴールが近づいてきました。最後は取っ手付けです。同じ長さに切ってまるく曲げられた2本の竹を網目の中に交互にクイクイと差し込んでいきます。太さがあるので、ヘラで穴を広げながら、ひと目ずつ下へ押し込みます。網目に挟み込むだけで、だいぶしっかり固定されるのですが、付け根のところにお好みで竹紐を渡し、十字に固定します。

出来上がりました!

出来上がりました!


完成です!素人にしては、なかなかそれらしく仕上がりました(よーく見ると雑な部分が多々ありますが)。缶ビールが縦に3本くらい入る大きさです。バッグとして持ち歩くにも程よい大きさで、部屋に飾っておいてもきれいです。みんなのと比べてみると、ぷっくり太っているのやら、キリッとシャープなのやら、同じ材料でもずいぶん違い、それぞれの個性が出ていて面白いです。しかし結局朝10時からスタートして、終わったのは夕方6時近く。ひとつ作るのにほぼ一日がかりでした。職人さんは2時間くらいでぱっと仕上げてしまうそうですが、そうだとしてもやはり竹籠作りは結構手間暇かかります。実際は素材を整えたり下準備するところが一番苦労する部分で、編む作業は全工程においては最終段階。私たちが関わったのは実はほんの少しだったのかもしれませんが、作る工程を部分的にでも理解できたのは、とても良い経験になりました。
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