History reminds us that at every moment of economic upheaval and transformation, this nation has responded with bold action and big ideas.
経済情勢の激化と構造変化を、われわれの国は常に大胆な行動と壮大な発想で乗り越えてきたと歴史は示している
History reminds us 「歴史は~を示している」
オバマ大統領が就任後初めて議会に対して行ったスピーチからの抜粋、今回押さえておきたいのは冒頭の、"History reminds us ..."と言う表現で、「歴史は(that以下を)示している」と、あたかも歴史が人物のように文の主語になっています。
後段の、"this nation has responded with ..."もまったく同じ言い回しで、「人間でないもの」が主語になるのは、極めて英語的な表現と分かりますね。
英語は「モノゴトとモノゴトの関係」を表すのに日本語よりも適しているので、読むときに「何と何の関係を説明しているのか」という視点を持つだけで、英語の読み込みを、グッと早く、そして深くすることができます。
さて、表現が分かったところで、この発言の裏にあるマネー知識も見てみましょう。ポイントは、"bold action and big ideas"というところ。歴史を振り返ってみても、大胆な行動と壮大なアイデアで乗り切ってきたわけですが、最近のサブプライム問題という、それこそ歴史的な"economic upheaval"を迎え撃つための「大胆な行動」は何でしょうか?
答えは、「公共事業」。景気を回復するために、政府がジャンジャンお金を使おう、ということ。
なんて聞くと、「どっかの国と同じじゃん」なんて思う人もいるかもしれませんが、ご心配なく。オバマ大統領の言う"big ideas"は、今回の場合、時代にマッチしなくなった制度を革新するという「壮大な発想」なのです。事実、スピーチの別の部分では、
the budget will invest in the three areas that are absolutely critical to our economic future: energy, health care, and education
と、エネルギー関係、ヘルスケア、そして教育に予算を割くことを高らかに宣言しています。
そう、今まさにニュースになっている、オバマ大統領の医療保険の改革は、このとき(スピーチは、就任直後の2009年2月末のものです)から始まっていたのです。
今回は、米政府による、公共事業を通じた景気の回復を読み解くことができました。そして、景気が回復すれば企業の業績も良くなって、やがては株価も回復する…と、マネー・カレッジの経済ダイヤモンドモデルで言うと、グレーで色づけされた「株価」にフォーカスがあてられています。つまり、外部からの刺激によって、景気の一つの指標である株価を底上げしよう、と言うねらいですね。
でも、そうなると他のパートに影響がでてくるのでは?たとえば、物価は?なんて、ちょっとした「先読み」ができるのが、経済ニュースが「分かる」ことに他なりません。次回以降、この「先読み」にもトライしていきましょう。