一人の主婦が税務当局の通達を変えた

通達
通達は変わります
その昔小規模宅地の特例の要件の中に「事業用の定義」という通達がありました。貸家なら5棟以上、貸室なら10室以上でないと事業用扱いにならず、小規模宅地評価減を認めないというものでした。

小規模宅地の特例
相続税の計算上、一定の要件を満たした居住用と事業用の宅地には、50%~80までの評価減が出来る制度


通達
1.国税庁長官が各国税局長に下す命令
2.法令解釈の細目を定めるもの
3.税務署が事案の判断基準とするもの


この主婦の主張はこうでした。小規模宅地が相続税で安くなる理由は、生活に必要な基盤である土地は税法でも配慮しようと言う事である。その趣旨から言って2フロアという賃貸物件で、家賃は金額的に大きい収入が上がっている。貸室数で言えば2室となり、5室未満である。形式的要件だけで認めないのはおかしいのではないか?十分生活の基盤になっている土地である。

これは1993年から東京地裁で争われ、この主婦は1995年6月30日に勝訴しました。通達は1994年改正で形式基準は廃止されました。

通達は変わる

税務当局は法律だけでは税務行政が実行できないため,行政からの命令や国税庁から税務署職員を拘束する通達を出しています。ところが、「あらたに租税を課し,又は現行の租税を変更するには,法律又は法律の定める条件によることを必要とする。 (憲法84条)」というのが原則です。これを租税法定主義といいます。すなわち租税は国会を通った法律でしか課税できないと解釈されています。そこで法律の解釈で、納税者が、通達を出している課税当局と争うことは出来、納税者が勝訴すると通達も変わるわけです。

税法は専門家でもむずかしい

昔、先輩の税理士の方から教わったことです。「税法とは一読理解、二読難解。三読不可解。」まず1回目に読むと理解したような気がします。2回目に読むとこうも読めるなということで難しいと分かるようです。さらに勉強すれば分かるのではと続けて、3回目になると、結局どっちの事を言っているのかと分からなくなるという意味です。

納税者の方に分かり易い税法が現われるには残念ながらまだ時間がかかりそうです。この専門家にとってもむずかしい税法ですが、先ほどの主婦の方のように、税法と通達を区別し、生活者の観点から主張する事も、時には必要なのではないでしょうか?

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