打合せ
どのようにして割引債が見つかるのか?

割引金融債を隠して、相続税約9億8000万円の脱税!

旧経団連の元会長で新日本製鉄名誉会長だった故斎藤英四郎氏から相続した財産39億1900万円のうち16億円余を隠し、相続税約9億8000万円の脱税をしたとして、長男の斎藤英樹・元同社常務(62)は、相続税法違反の罪で在宅起訴されました。隠した財産は、無記名の割引金融債(以下「割引債」)や現金等でした。割引債とは、利息が付かない代わりに額面金額から割引料(金利相当額)を控除した金額を払い込み、額面金額を満期時に受け取る債権です。

無記名の割引債は、相続税の税務調査のときに一番問題になるものです。無記名だからといって、分からないという事はありません。無記名の割引債の存在が推定されるときは、調査はさらに厳しくなります。理由は、「隠したい。」と言う以外に割引債を持ちたいという理由がそんなに多く見当たらないからです。しかし、刑事告発にまでならないように、相続税の申告時に、打つべき手は無かったのでしょうか?

税務署は、相続税申告後の税務調査で割引債をどうのようにして見つけるのでしょうか?

税務署は、被相続人の死亡前の預金の動きをチェックします。預金が引き出されていて、行き先が不明なものは割引債になっていると推定します。仮に2000万円が行方不明だったということにします。引き出されてはいるがどこに行ったか分かりません。さあ、どうやって説明しましょうか?

1.食べました。残念ながら月50万円も食べますと通風、高血圧が待っていると言われています。豊かな時代ですからご馳走も何回もすると嫌われてしまいます。食べたとは言いにくいようです。
2.旅行に行きました。残念ながら世界一周しても一人100万円もかからないようです。旅行は体力いるので年に何回も出来ません。
3.ギャンブルで損をしました。確かに生前ギャンブルをする人でしたら説明がつくのですが。私の経験上相続税を多額に納めた人でギャンブルを真剣に頻繁にされた人はあまりいないのです。

という訳で意外と説明がつかないものです。そこで、税務署は引き出された日と同じ日を割引債の発行銀行に行って徹底的に洗い出します。同じ金額を見つけると「これかな!」という事になるそうです。この調査力はたいしたものだといつも思っています。無記名とは言え発行銀行には本人を特定するのに便利なヒントもあるようです。

また、銀行から借金した時に、割引債を担保に入れている場合があります。担保は記録に残っています。それで、税務署は、割引債を買った事があることに気づきます。

このように分からないだろうと思われている割引債も、税務署の調査によって結果的に分かってしますケースが多いようです。