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どうして86%も修正を? |
2007年12月に国税庁から「相続税の申告事績(平成18年分)及び調査事績(平成18事務年度分)」が発表されました。その資料と私の経験を基に税務調査についてまとめました。
修正申告の割合は86%!
平成18年中に亡くなった人は、約108万人。その内、相続税の申告の対象となった人は、約4.5万人。その割合は4.2%(4.5万件/108万人)で平成6年以降では3年連続過去最低となっています。
また、平成16年及び平成17年分の相続を中心に1.4万件に調査がありました。その結果、申告漏れは1.2万件で、申告漏れ割合はなんと86%(※1)にもなっています。
この発表から死亡者数ベースでは1.3%(※2)に、相続税の申告をした人ベースでは約30%(※3)に調査があったことが分かります。相続があってもほとんどの人は申告義務がありませんから、税務調査があることが稀です。しかし、申告が必要な人には30%に調査があり、その結果、前述のように86%の人が修正申告をしている実態があります。
※1 86%=1.2万件/1.4万件
※2 1.3%=1.4万件/死亡者数105.5万人(平成16、17年の平均)
※3 約30%=1.4万件/死亡に係る相続税申告件数の4.45万件(平成16、17年の平均)
どうしてこんなに修正申告をするのか?
どうしてこんなに修正申告をするのか? もちろん、評価を少し間違えてしまったといったものあります。しかし、大半は、相続人の認識と税務調査の実態に差があるためです。前述のように相続があってもほとんどのところで税務調査はありません。そのため、「郵便局には調査が入らない」や「家族名義になっていれば相続財産ではない」、「割引債にしてしまえば分からない」といった認識を持つ相続人も少なくありません。税務調査の実態については後の章で確認しましょう。
税務調査はいつ?
税務調査は、申告期限(相続発生から10ヵ月後)から3年間来る可能性があります。なかでも、東京の場合、秋が税務調査のシーズンになっています。従って、申告後、1度目又は2度目の秋に行なわれています。では、どうして秋なのか? それは、税務署の年間スケジュールに関係します。年初から春にかけては確定申告、夏は人事異動があり忙しく、従って、相続税の調査は秋になります。