遺産分割のやり直しは贈与! |
遺産分割のやり直しは贈与!
請求人※は、相続税の申告後、遺産分割をやり直しました。そうしたところ、税務署からやり直した遺産分割により新たに取得した財産は、贈与にあたるとして、贈与税を課されました。請求人は、これに納得できず、国税不服審判所に審査請求をしました。しかし、国税不服審判所は、この請求を棄却しました。※税務署の課税に対して不服があるため、国税不服審判所に審査請求をした人
なぜ遺産分割協議をやり直したのか?
請求人が遺産分割をやり直した理由は、次のようなものです。請求人は、養親である祖父Aさんの相続で、Aさんの後妻Bさんと遺産分割協議をして相続税の申告をしました。そのとき、請求人は、Bさんと養親関係がないことを知らなかったため、Bさんにも遺産を相続させました。いつかは、自分のところに遺産が来るからと思っていたのでしょう。しかし、申告後、Bさんとは養親関係がないことを知って、遺産分割をやり直し、新たに財産を取得しました。贈与税の課税で国税不服審判所へ
これを知った税務署は、やり直した遺産分割により新たに取得した財産は、贈与により取得したものとして贈与税を課しました。これに対して、請求人は、贈与税の課税を撤回してもらうために、国税不服審判所に審査請求をしました。そこで、「申告前の遺産分割の時点では、Bさんとは養親関係がないことを知らなかった。知っていたらBさんに遺産を相続させるような遺産分割を行うはずはなかった。当初の遺産分割協議が要素の錯誤(後述します)により、そもそも無効であった」と主張しました。
国税不服審判所の棄却理由
国税不服審判所は、請求人の審査請求を棄却しました。棄却理由では、請求人は、遺産分割の意思決定の際の直接原因を誤ったもので、それは要素の錯誤ではないと結論付けました。遺産分割は有効であり、要素の錯誤ではないというものでした。「請求人の主張する『錯誤』は、遺産分割の動機に関するものであり、この動機が遺産分割協議の際に表示されていたとしても、本件遺産分割の内容と異なる内容の遺産分割協議がされたと言うこともないから、民法第95条に規定する法律行為の要素の錯誤言うことはできず、結局、請求人の思い違いないし勘違いに過ぎないというほかはない」と裁決理由には述べられています。この事実関係が争点になったところと推測されます。