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相続税を払えません。4つの納税方法の選択

相続税を遺産の中の金融資産等で払えない人はどうしたらいいのでしょうか? 4つの方法があります。各納税方法についてメリット・デメリットに関するポイントをまとめてみました。

執筆者:天野 隆

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納税方法はどうなっている?
相続税を遺産の中の金融資産等で払えない人はどうしたらいいのでしょうか? 対策として次の4つの方法が考えられます。
(1)資産を売却して払う
(2)金融機関から借りて払う
(3)延納制度(何年間に分けて納めるやリ方)を使う
(4)物納制度(相続等でもらった財産そのもので納めるやり方)を使う
今回はそれぞれの方法についてポイントをまとめてみました。

納付方法

相続税の納付は、申告期限(相続開始後10ヶ月)までに金銭納付が原則です。遺産の中の金融資産で払えない場合には、資産を売価するか、金融機関から借りるかで金銭納付する必要があります。

金銭で申告期限に払えない場合には、払えない部分だけ延納が認められています。さらに、延納でも払いきれない部分については、物納が認められています。

例えば、納税額が1億円で、申告期限に金銭で納められるのが3千万円(相続人の固有資産からの支払を含む)で、延納で払えるのが5千万円としたら、物納できるのは残りの2千万円になります。従って、いきなり1億円の物納は出来ません。

では実際に金銭で相続税を払えない人はどうしたら良いのでしょうか? 4つの納税方法をご紹介します。

(1)資産の売却

資産が売れるものであればこの選択が可能となります。メリットは相続税の評価額よりも売却価格が高ければ、後に述べる物納より売却の方が得でしょう。資産の売却は、土地のケースが多いと思います。納税のために売らなければならないと思われて足元を見られないようにしなければいけません。デメリットは時間がかかるということです。申告期限までに、売却・現金化出来ないときは、他の方法を選択する必要があります。従って、売却用の土地が決まっていたら、その土地だけでも早めに遺産分割をして、売却の話を進めましょう。

土地を売却して、譲渡益がある場合には、譲渡税※がかかります。ただし、相続した財産を相続税の申告期限から3年以内に売却した場合には、相続税の一部を取得費に加算する取得費の特例があります(詳細はこちらから)。従って、税理士と相談して売却と物納のどちらが有利か? 計算をしてもらう必要があります
※税率は、所有期間が5年を超える場合には、譲渡益の20%(所得税・住民税)

(2)金融機関からの借入

金融機関から借りて納税をするやり方です。メリットとしては金利です。金利は、金融機関により異なりますが、後で述べる延納の金利より低いことがあります。元利均等で毎月返済。デメリットは銀行の審査が厳しいことも覚悟しておく必要があります。また、担保の設定費用(登録免許税が設定金額の0.4%)がかかります。

(3)延納

延納期間と金利(利子税の割合)は、相続財産の中で不動産等の割合が5/10以上の場合には、次の通りです。支払は、元金均等で年1回払いです。
■延納税額のうち不動産等にかかる部分については15年(※1)以内で年2.3%(※2)
■延納税額のうち不動産等以外にかかる部分については10年以内で年3.5%(※2)
※1 相続財産の中で不動産等の割合が3/4以上の場合には20年
※2 日本銀行が定める基準割引率(公定歩合)が0.75%の場合

手続きには、申告期限までに延納申請書と担保関係書類の提出が必要です。書類の準備ができないときは、延長の申請をします(最長6ヶ月まで延長可)。       

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