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贈与の手順次第で税金は231万円も変わる!

同じ金額をプレゼントするにしても、その手順によって税金の金額には231万円もの差が生まれます。払わなくても済む税金を賢く節約する方法をお伝えします。

執筆者:清水 真一郎

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0円と思っていた税金が231万もかかった!

あなたと税務署の認識の違いによって、数百万の税金がかかることもあります!
実際に相談を受けた親族間の贈与に関わる出来事をご紹介します。

Q:知人のAさんが孫のために毎年40万円前後のお金を孫名義で貯金をしてきました。通帳やハンコはAさんが大切に保管。20数年後、その孫が結婚することになって、Aさんは孫名義で貯金した1000万円の証書とハンコをその孫に渡したのです。

Aさんは毎年の贈与(40万円)は贈与税の基礎控除額(*)以下なので、贈与税がかからないと思っていました。ところが、税務署からは1000万円の通帳とハンコを渡した時点で贈与があったとの指摘。その結果、贈与税231万円がかかることになりました。私も孫の名義で貯金しているので不安です…。

*基礎控除額額:現在110万円までの贈与には税金がかかりません

A:Aさんが亡くなった後の相続を考えると、生前に親族に財産を贈与しておくのは、相続税を抑える手段の一つとなります。だたし、前述のように年間110万円を超えると贈与税がかかります。そこで、毎年110万円以下に分割したうえで、親族名義で貯金することが世の中で多く行われています。そこに税務調査が入ると厳しいのが現実です。

税務調査でのポイントは「贈与のタイミングはいつか?」です。Aさんは毎年40万円ずつ孫にあげたと考えています。一方で税務署は通帳とハンコを渡した時点で1000万円がまとめて贈与されたと捉えています。この認識の違いによって、231万円分の税金の差が出ます。1年間に1000万円の贈与があれば、基礎控除額を超えているので、231万円の贈与税がかかります。

このようなケースにおいて税務調査が入った場合、こちらの主張を通すのは容易ではありません。ただし、事前に対策を立てることはできます。対策とは主に下の3点を明確にしておくことです。

・管理者は誰?
・利息・配当の受け取りは誰?
・贈与税の申告は済んでいるか?

以下、それぞれについて解説します。

孫がお金を自由に使える状態にする

親族名義への預貯金の異動について贈与と認められるには、「貰った人がいつでも自由に引き出せるようになっている」ことが必要です。自由に引き出せることを証明する方法の1つは、本人がハンコを保管することです。税務当局は「ハンコの保管者=預貯金の所有者」と理解しています。

注意したいのは、一家でハンコが一つという場合です。誰がハンコを管理していたかが曖昧になり、誤解を招くことになります。誰がハンコを保管していたのかは一つの証拠になるので、家族でハンコを共有することはお勧めできません。1人1本は所有しましょう。

また、孫の年齢が低いうちには、教育的配慮から孫に知らせないこともあります。幼い子供がたくさんの現金を手にすると、お金を使わずに我慢するのは難しいです。秘密にしておく気持ちも理解できます。ただし、孫がお金があることを知らなければ贈与と認められません。しっかりと金銭教育をしたうえで、本人が使える状態にする必要があります。

利息・配当の受け取りも孫に

名義を孫に変更しても、利息は相変わらず親が受け取っているケースがあります。利息や配当金(いわゆる果実)の受取人が変わらなければ、元本の贈与があったと認められません。

なかなか実行するのが難しいと感じるかもしれません。
次のページでは全く別の確実なアプローチを紹介します。
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