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どうして物納が出来ないのか?
Q.加藤と申します。私は遺産10億円(不動産10億5,000万円、預貯金5,000万円、借入金1億円)を相続し、相続税3億円を納税することになりました。しかし、相続財産と自分の預貯金等を合わせても申告期限(相続発生から10ヵ月後)までに納税できるのは7,000万円です。3億円の相続税の一部しか納税できません。なお、借入金の返済もあるため、引継いだ不動産からの収入や会社の給与から捻出できるのは年間1,000万円が限界です。相続税の納税の現状を教えてください。

A.相続税が高額で金銭で納税できない人は、通常、資産の売却で納税をします。しかし、未曾有の不況下で思うように売却が出来ないのが現状です。加藤さんの事例をもとに、相続税の納税の現状を確認しましょう。

土地の売却が出来ない

加藤さんのように資産の中に不動産の割合が高く、金融資産だけで相続税を払いきれない場合には、通常、土地を売却して納税します。しかし、昨年からの土地取引が極端に減少していて、買い手を見つけることが大変です。また、買い手がいても相続税の評価額よりも売却金額の方が低く、希望する金額では売却できないのが現状です。

物納ができない

売却予定の土地について、相続税の評価額よりも売却価格の方が低い場合には、従来なら、土地の物納を検討します。事実、数年前なら、金融資産で足りない分を全部物納するとこも出来ました。しかし、平成18年4月1日以後の相続については、これが出来なくなりました。

なぜ、物納が出来ないか? それは、相続税の納税は、まず相続財産と相続人の固有の財産の中の金融資産(預貯金・上場株式・保険の解約)から支払います。それでも足りない分は、まず延納で納税しなければいけません。その延納でも払えない分しか物納の申請が出来ないためです。

加藤さんのケースでは、相続税が3億円で、相続財産と相続人の金融資産で納税できる金額が7,000万円ですから、2億3,000万円足りません。その場合には、まず延納で2億円(年1,000万円(※1)×20年(※2))納税し、残りの3,000万円が物納できる金額になります。
(※1)1年間に収入に対して延納の納税に充てられる金額。加藤さんの場合には1,000万円。
(※2)相続財産の中の不動産等の価額の占める割合が75%以上の場合の最長期間。加藤さんの場合には、95%(10億5,000円/11億円)。

なお、物納をする場合には、原則として、申告期限までに測量をして隣地との境界を確定させなければいけません。