雑貨/ハンドクラフト・工芸

陶芸家・五月女寛さんのうつわと暮らし

五月女さんの家は全て手作り。元気で賑やかで温かい、家族のぬくもりに包まれています。そんな自宅の一角をギャラリーにして、個展が開催されました。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

展示の様子
自宅を年一回開放してギャラリーに。


陶芸家・五月女寛さんはとてもパワフルな人です。 自分のやりたいことに向かって、迷いなく一直線に進む実行派。 今回、普段は自宅として生活している場所を開放し、 自分の作品を展示する個展を開催しました。 家があるのは戦争で焼け残ったという、古い町並みの残る場所。 近くにはガタゴトと都電も走っています。小さな路地の奥へ進むと、 古く味わいのある一軒家がこじんまりと静かに佇んでいました。



家族みんなで改装した手作りの家

梁だけ残して2階を吹き抜けに改装。広々と気持ちいい!
一人暮らしをしていた頃から、古い家を自分なりのアイディアで、住み心地よく改装して暮らしていたという五月女さん。 現在住んでいる家も築75年という古さ! 「実は古い家のほうが建て付けがよく、土台もしっかりしているんです。この時代は大工さんの腕も良いですから。 でも正直この家は、最初は本当にボロボロで、改装せずには暮らせないような状態だったんですけどね」。 元々は学生のための下宿舎だったそうで、小さな部屋に細かく仕切られ、2階にも台所が付いていたとか。 古い時代にはお相撲さんも住んでいたらしく、壁を剥がしたら番付表が出てきたこともあったそうです。

結局約3年かけて、ほぼ全面改装。1階の床と壁には無垢の板を敷き詰め、一部の壁は収納としても機能しています。 2階部分は梁だけを残し、床をぶち抜いて吹き抜けにしました。 今まで天井が低く暗かった室内が、一気に明るく開放的になり、風の通る気持ちよい空間になったそうです。 2階へ上がる階段ももちろん手作り。古い蔵が解体されるときに中へ入れてもらい、 ヒノキの古材を見つけて作りました。 時代を経て自然に朽ちた木の表情が味わい深く、みんなの足に触れることによって、ますます磨きがかかります。


テラス

テラス
縁側のようなスペース。もちろん手作り。あ~、ここでビール飲みたい!
植木の鉢も全て自分で焼いたもの。古い壺の中にはカメがいました。


全てオリジナル。工夫とアイディアで快適な空間に。

絶妙なセンスで、不思議なオブジェがちらほら。
改装時の写真を見せてもらいましたが、今の家からは想像できない、ほぼ解体工事の現場みたいな状態でした。 木材が積み上げられ、土埃りの舞う室内で、 マスクをした五月女夫婦がはしごに登ったり、床にもぐったり。実際には苦労も多かったようですが、 二人の小さな娘さんたちも遊びながら協力していたりして、家族みんなで力を合わせ、 思い出のいっぱい詰まった素晴らしい家となったようです。 「実は吹き抜けって、夏は気持ちいいんですけど、冬はやっぱり寒いんですよ。だから今はこっちをメインに生活してるけど、 冬になると生活スペースを移動して、温かいところに集まります。 家の中で遊牧民みたいでしょ(笑)。でもそれでいいんじゃないかと思って」。

家の中にある棚やテーブルは手作りや古いものが多く、拾ってきたものなどもあるそうです。 一見ガラクタのようなものでもうまく組み合わせ、工夫を凝らし、ちょっと微笑ましくて遊び心のあるディスプレイが あちこちに見つかります。普段は生活しているといわれてもあまり実感が湧かず、 完全にギャラリーとして成り立つ空間でした。


次ページでは、作品やアトリエの様子をご紹介します。
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