余った薬や期限が切れた薬の正しい捨て方は?
分別ごみは住んでいる自治体に確認してみてください
A:薬の捨て方は知らない方が多いもの。でも海外では医薬品による河川の汚染も報告されていたりと、非常に重要な問題なのです。
薬の保存ポイント、薬の種類や容器ごとの捨て方について、薬剤師が解説します。
基本は薬を余らせない! 期限の目安は1~3ヶ月程
病院で受診して処方を受けた薬は、その決められた期間に飲みきることが原則です。もし、長期間の処方がでた場合、医師に相談して少なくしてもらうことも可能かもしれません。一方で、長期間の処方ができる薬もあります。その場合、医師に聞いてみましょう。詳しくは「病院に行く時間がない!長期処方箋について」をご参照下さい。ただ、途中で症状が変わって再度受診して違う薬を処方されたり、副作用が出て飲むのをやめると、どうしても薬が残ることがあります。また、薬局(ドラッグストアなど)で買った薬も、いつの間にか期限か切れていることも……。
※薬の種類によって期限が異なりますが、開けてから1ヶ月~3ヶ月ぐらいが目安です。購入の際に、薬剤師に聞いてみてください。
薬の捨て方の基本は「容器と薬の分別」…薬ごとの処分方法
薬の捨て方の基本は、容器と薬を分けて捨てること。それぞれの処分方法を細かく分けてご説明します。■錠剤・カプセル剤の捨て方
錠剤やカプセル剤は、容器から取り出して可燃ごみとして捨てます。なるべく紙や袋で包んで捨てるようにしましょう。
■軟膏・クリームの捨て方
不要な紙やちり紙などによく中身を絞り出して、丸めて可燃ごみとして捨てます。容器は、容器の材質(金属、プラスチックなど)によって分別して捨ててください。
■液体(目薬、飲み薬など)の捨て方
なるべく紙に吸収させたり、燃やして良いビニールに入れて可燃ごみとして捨ててください。油を捨てるときのような感じです。液体の薬の場合は、大量の水とともに下水に流すという方法も言われていますが、最初にお話しましたように、医薬品による河川の汚染が問題になっています(特にアセトアミノフェンという解熱鎮痛薬や抗生剤など)。燃やして破棄することが環境上必要だと感じましたので、可燃ごみとして出す方法をご提案させていただきました。
■スプレー(エアロゾル、噴霧剤など)の捨て方
中身を出してから捨ててください。中身を出す時は、火気のないところや側に子供などいないかどうか気をつけて、なるべく外や換気の良いところで行ってください。
■貼り薬(シップ、ハップ剤など)の捨て方
シップ自体は、可燃ごみとして捨ててください。シップについているビニールや、シップが入っている袋には、プラスチックかどうか印字されていると思いますので、それに従ってください。
■薬の容器の捨て方
ガラスビンやプラスチック容器、プラスチックとアルミのシート(押すと薬がプチっと出てくるシート状のもの:PTPシート)から薬を取り出します。ラベルをはがして容器をゆすぐなど、住んでいる自治体の捨て方に従って捨ててください。プラスチック容器やPTPシートには、プラスチックのリサイクルマークが印字されていると思います。分別の際はそのマークを参照ください。
子供用の液体の飲み薬が入っている容器は、再利用できる場合があります。衛生面の問題もありますので、薬局に問い合わせてみてください。詳しくは「薬の豆知識 容器のリサイクル」をあわせてご覧下さい。
ゴミの問題は難しいですね。私も医療人として、そして1人の住民として毎日気をつけるように努力しています。
*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の薬局での会話をもとに構成したものです。相談が必要な方は、医師や薬剤師に実際にお聞きください。
【参考】
・薬の保管法、捨て方>OTCの豆知識>安佐薬剤師会
・Acetaminophen forms toxics during wastewater chlorination(アセトアミノフェンの汚染問題)>Environmental Science & Technology>ACS Publications